10月11日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2011年9月の全国企業倒産の集計結果が発表された。同月の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では847件/1,929億3,400万円、商工リサーチの発表では1,001件/2,123億1,200万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2011年9月の全国企業倒産の件数は、前月比(969件)比で12.6%の減少、前年同月比(943件)も10.2%の減少となり、今年最少を記録した。2月の884件以来7ヵ月ぶりに900件を下回り、減少率では2010年10月(10.3%減)以来11ヵ月ぶりの2ケタ減となった。
2011年9月の全国企業の負債総額は、前月(7,975億8,100万円)比は75.8%の減少、前年同月比(1兆3,705億9,800万円)は85.9%の減少と、いずれも大幅減少となった。
全国企業倒産件数・負債総額の推移 資料:帝国データバンク |
業種別では、7業種中2業種で前年同月を上回り、特に小売業(188件、前年同月比41.4%増)の増加が目立った。一方、建設業(252件、同14.0%減)、製造業(123件、同8.2%減)などの5業種では前年同月を下回った。
地域別では、9地域中4地域で前年同月を下回り、なかでも東北(27件)は前年同月比42.6%の大幅減少となったほか、北海道(20件、前年同月比31.0%減)や九州(56件、同27.3%減)でも減少が目立った。一方、中部(120件、同7.1%増)、中国(51件、同21.4%増)は前年同月を上回った。
商工リサーチの調査結果
2011年9月の倒産件数は、前年同月(1,102件)比で9.1%の減少となり、9月としては2005年(987件)に次いで過去20年間で2番目に少ない件数だった。
ただし同社によると、中小企業金融円滑化法に基づく返済猶予を利用したにもかかわらず、倒産したケースが集計開始から最多の24件(前年同月6件)発生しているという。今年は9月までの累計が108件に上り、前年同期(30件)に比べて3.6倍増となっており、同社は「さまざまな金融支援で中小企業の資金繰りが一時的に緩和した一方、業績回復が伴わない企業が多いことが浮き彫りになっている」と指摘している。
2011年9月の負債総額は、前年同月(1兆4,180億2,500万円)比85.0%減と大幅に減少した。この要因として、10億円以上の大型倒産が同34.4%減の38件にとどまったことに加え、前年同月に日本振興銀行(負債6,805億円)と武富士(同4,336億円)の大型倒産が発生して負債が膨らみ、反動が大きく表れたことが挙げられている。
産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、8産業が前年同月を下回った。増加したのは、運輸業13.8%増(36件→41件)と卸売業1.4%増(137件→139件)の2産業。
地区別では、北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、7地区が前年同月比を下回った。増加したのは、中国36.3%増(33件→45件)と中部1.6%増(120件→122件)の2地区だった。