STMicroelectronicsは、ARM Cortex-M4コアを搭載した32ビットマイコン「STM32F4シリーズ」を発表した。ベースとなる「STM32F405x」、USB OTG×2やイーサネットMACを搭載した「STM32F407」、それぞれに暗号/ハッシュプロセッサを搭載した「STM32F415/417」の4ファミリが用意されており、ターゲットはローエンドMPUやDSP、高性能マイコンなどがカバーしていた領域と同社では説明している。
同シリーズは90nmプロセスを採用し、コア電圧1.2Vで最大168MHz(210DMIPS)で動作。シングルユニットDSP命令のサポートやFPUの搭載、そしてSRAMの大容量化(192KB)が図られたほか、最大1MBのフラッシュメモリ、画像処理、コネクティビティ、ハッシュ/暗号化などのペリフェラルも搭載されている。
また、独自技術として「ARTアクセラレータ」と「マルチレベルAHBバスマトリクス」を採用することで、さらなる高性能化を図っている。ARTアクセラレータは、データ用とインストラクション用のキャッシュで、高速処理を行う際のフラッシュメモリとCPUとのアクセス時に生じるウェイトを最小限に抑えるためのプリフェッチバッファという位置づけとなっている。
具体的には、64個のインストラクション向け、8個のデータ向けの128ビットバッファを用意。起動時にこのバッファに条件分岐やサブルーチンなどの命令を先に収納しておくことで、フラッシュメモリへのアクセス頻度を減らし、処理の高速化を図ることが可能になるというもので、特に64個のインストラクション用バッファを活用することで、たいていの命令はフラッシュメモリから呼び出すことなく、高速に処理することができるようになるとしている。
一方のマルチレベルAHBバスマトリクスは、標準的な処理では1つのバス上でさまざまな処理を行うが、これだと複数の高速ペリフェラルを行うには処理が煩雑化してしまっていた課題に対し、7レイヤで構築される複数バス構成へと変更することで、複数の高速ペリフェラルが同時に動いた場合でも別々のバスで処理することを可能とし、最適処理を実施することで、リアルタイム性を向上させることが可能になるというものとなっている。
なお、すでに4ファミリともに量産出荷は開始しており、価格はパッケージなどで異なり、1000個購入時で約5ドル程度からとしている。