Cypress Semiconductorは、ファームウェアを書いたり、新しいソフトウェアツールを覚えることなく、最大4 ×4のボタンを持つ静電容量式マトリックスボタンシステムの構築を可能にするCapSense Expressの次世代ソリューション「CY8CMBR2016」を発表した。

マトリックスシステムは、通常さまざまな産業機器アプリケーションのキーパッドで見られる縦と横のボタン配列を指すが、同製品に搭載されるオートチューニング・アルゴリズム「SmartSense」を利用することで、システムのチューニングを不要にすることが可能となるほか、動作時の環境補償を提供することも可能となる。

また、一般的な「キーパッドスキャン」と「真理値表」のホストインタフェースプロトコルに対応しており、既存のプロセッサのファームウェアを活用することが可能なほか、マルチタッチを特長としており、各種ユーザーインタフェースモードを利用するのに複数のボタンを同時に押す必要があるマトリックスアプリケーションにも対応することができる。

1.71V~5.5Vの範囲で動作し、さまざまな安定化および非安定化バッテリアプリケーションに対応しており、動作モード時の消費電流はボタン当たり15μAを実現している。

さらにSmartSenseのオートチューニングは、各ボタンに対して容量のベースライン値やタッチの検出のスレッショルド値をダイナミックに最適化するものであり、これにより温度、湿度、およびノイズなどの環境状態が変化した時に、起動時および動作時の容量検出範囲が最適となるよう調整することが可能となる。そのため、メーカーの規模に関わらず、チューニング時間の節約が可能となり、製造公差のわずかな違いだけでも発生しうる歩留りの低下を防ぐことができると同社では説明している。

加えて、他のソリューションではPCBやオーバーレイの違いに対応するのにそれが必要になる追加のテスト工程を省略することも可能となるという。

なお、同製品はすでに48ピンQFNパッケージにて量産出荷が開始されている。

CapSense Expressの次世代ソリューション「CY8CMBR2016」のパッケージイメージ