10月4日より8日まで、ITとエレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2011」が幕張メッセで開催されている。このうち、企業向けモバイルネットワーク、クラウドコンピューティングなどを中心に展示されている「ビジネス&ソサイエティゾーン」から、注目される展示内容を紹介する。
「見える化」を中心にしたHEMSと人工衛星 - NEC
ホーム&パーソナルゾーンも含め複数の出展社が家庭向けの使用電力量管理システムを展示しているが、NECが展示するシステムは情報の「見える化」と、クラウドでサービス提供することによる情報収集が特徴。住宅メーカーや管理会社に提供し、コンサルなどの事業に活かすことも可能だ。通路に面しては人工衛星開発事業から、小惑星探査機「はやぶさ」に搭載されたことで有名になったイオンエンジンを展示。現在は地上分解能50cm未満という高解像度の小型地球観測衛星「ASNARO」を開発中だ。
スパコン世界一「京」と、充電1分のキャパシタ自動車 - 富士通
富士通のブースでは、昨年のスーパーコンピュータTOP500リストにおいて1位を獲得した「京」のラックとシステムボードが展示されている。昨年の記録は全体の完成度でいえば約8割程度で出したもので、次回の国際スーパーコンピューティング会議(11月)には、フルでの計測を目指して調整を進めている。8万以上のCPUのネットワー構造を模式化した模型や、開発者のコメントなども見ることができる。奥にはリチウムイオンキャパシタのバッテリーを積んだ電気自動車を展示。充電電流150Aで、フル充電1分という充電性能が特徴。一回の充電で走行距離は約5km、最高速度はおよそ時速80kmとなっている。
モバイルを核に様々な分野へサービスを展開 - NTTドコモ
小さな展示エリアながら注目されていたのが、短時間で充電可能なスマートフォン用のバッテリー内蔵ジャケット(参考展示)。電気自動車に使われている技術を応用することで、通常の10倍の電流で充電が可能になるというもの。形状としては汎用のチャージャーも可能。現時点ではコストの問題で実用化は難しいそうだ。また、放射線センサー、UVチェッカー、体脂肪計などの各種センサー機能を"着せ替え"できるジャケットも。この他、家庭の電力管理や社会基盤向けのサービスなど、モバイルを応用したサービスを展示している。
タッチパネルにクリック感を再現 - KDDI
参考展示の「新感覚スマートフォン」では、タッチパネルにキーのクリック感を再現したデモ機を展示。通常のタッチパネルに加え、押圧センサーとリアル振動機能を搭載することで、ボタンを押しているような感覚が指先に伝わる。また「新聴覚スマートフォン」は、骨伝導とは異なり、新開発の「音声振動素子(仮称)」を搭載することで、本体の振動によって音声が聞こえるというもの。イヤフォンで音楽を聞いているときでも、その上からスマートフォンを押し当てれば、振動によってスマートフォンの発する音声を聞くことができる。
200インチの大画面で裸眼立体像表示 - NICT
ひときわ大きな展示ブースを設置しているのはNICT(情報通信研究機構)。ホーム&パーソナルゾーンで多数出展されている3D映像機器とは異なる趣旨の3D映像技術のデモだ。水平方向に57の視差画像をプロジェクターで投影し、特殊なフィルムと集光レンズにより、これらの画像を"結像"させることで3D映像を作り出している。原理はちょっと難しいが、自分が動くと映っているものの見える角度が変わるという、実部が目の前にあるのと近い見え方が特徴。ただし、立体に見える角度が非常に限られているため、大きなシアターに対して一度に見ることができるのは6人までとなっている。
多彩なジャンルが一同に - クラウドコンピューティングプラザ
7日(金)までの日程で、クラウドビジネス関連の企業が多数出展しているエリア。企業向けのセキュリティ対策サービス、多様なシステムをつなぐデータ連携ソリューション、また小規模事業者向けの情報管理ASPなど、成長分野だけに方向性も幅広い。ターゲットが多様すぎて、ひとくくりにするのはやや辛いところだ。
ケーブル要らずの日は来るのか? - ワイヤレスパワーコンソーシアム
ホーム&パーソナルエリアに出展している、ワイヤレスパワーコンソーシアム。モバイル機器等を対象にしたワイヤレス充電の統一規格を世界的に推進している。すでに製品化されているスマートフォンやモバイルチャージャーのほか、コンセプトモデルとして太陽光発電パネルを搭載した充電テーブルなどが展示されている。