CEATEC JAPAN 2011が10月4日、今年も幕張メッセにて開幕した。様々なジャンルの展示で賑わうCEATECであるが、本レポートでは会場で見かけたロボット関連の話題について紹介する。

セイサク君を応用した電動歩行アシストカー

村田製作所は今年も特設ステージでショーを開催。お馴染みの自転車型ロボット「ムラタセイサク君」や一輪車型ロボット「ムラタセイコちゃん」などのデモを通して、自社のデバイス技術をアピールしていた。

今年は「遺伝子研究の権威 ジーン博士の新発表」というシチュエーションだった

デモステージで披露されたロボット3体。中央手前が今年初登場の電動歩行アシストカーだ

さて、2005年のデビュー以来、毎年様々な"進化"を見せてくれたセイサク君とセイコちゃんであるが、今年はハード・ソフトとも改良は一休み。だがセイサク君は坂道カーブという、さらに難易度の高い課題に挑戦して、ショーを盛り上げていた。

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道幅はわずか5cm。ボディのホイールを動かしてバランスを取りながら進んでいく。過去最高の難易度のデモ(wmv形式 13.7MB 50秒)

今年の注目は、初登場の電動歩行アシストカーだ。これはセグウェイと同様の倒立振子になっており、車体の傾きをジャイロセンサで検出して、タイヤを制御することでバランスを保っている。セイサク君・セイコちゃんで培った制御技術を応用した。

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ショーでは出演時間が短かったものの、注目を集めていた電動歩行アシストカー。急に動かしても倒れない(wmv形式 5.69MB 19秒)

あくまでもコンセプトモデルであり、製品としての販売は考えていないとのことだが、用途としてはお年寄りの転倒防止などを想定しているという。歩行速度は時速4kmまで出すことが可能で、荷物を運ぶこともできる。杖替わりとして活用できそうだ。

ステージのタイムテーブル。毎時30分からショーが開催される

掃除ロボット「Roomba」に新モデルが登場

セールス・オンデマンドは、米iRobotの掃除ロボット「Roomba 700」シリーズを披露していた。新技術「高速応答プロセスiAdapt」を搭載して、掃除能力を向上させた新モデル。10月7日より発売を開始し、同社オンラインストアでの価格は「Roomba 780」が79,800円、「同 770」が69,800円、「同 760」が64,800円。

Roombaだらけになっているデモスペース。カーペットの段差くらいなら乗り越えられる

700シリーズの3モデル。手前が最上位機種の780で、このモデルだけタッチパネルを搭載している

歴代のRoombaも紹介されていた。2002年に登場して以来、全世界で500万台以上が売れたという

福島第一の原発事故で話題になった軍事ロボット「PackBot」も展示していた

PaPeRoはリモート見守りシステムに

NECは、コミュニケーションロボット「PaPeRo」を使った「リモート見守りシステム」を参考出展。同社のAndroid端末「LifeTouch」を使って、離れた場所からPaPeRoを自分の"代理"として利用するアプリケーションを紹介していた。

コミュニケーションロボット「PaPeRo」を見守りシステムに応用した。PaPeRoはレンタルも実施中だ

「LifeTouch」からの画面。映像を見るほか、頭部の操作も可能だ。PaPeRoには、音声認識/合成機能もある

今年も函館からイカロボットが来襲

自治体エリアにある函館市のブースでは、今年も公立はこだて未来大学がイカ型ロボット「IKABO」を出展していた。今回展示しているのは5号機と7号機の2機。また次のIKABOは、バルーンを使った空中ロボットを考えているとのことで、大きさは20mになるとか。移動方法については検討中だ。

こちらは「IKABO 7号機」。道内の「ロボットトライアスロン」大会に出場して惨敗したらしい

地面を動き回っていたのは「IKABO 5号機」。2本の腕で来場者を頑張って"攻撃"していた

小惑星探査機「はやぶさ」など宇宙関連の展示も

映画が3本も制作されるなど、小惑星探査機「はやぶさ」が話題になっていることもあって、今年のCEATECでは宇宙をアピールしている企業も目立った。

「はやぶさ」の製造メーカーであるNECは、搭載したイオンエンジン「μ10」や標準衛星バス「NEXTAR」を紹介。NEXTARは2012年打ち上げ予定の小型地球観測衛星「ASNARO(あすなろ)」に採用されており、ブースではこの模型も展示していた。

「はやぶさ」に搭載されたイオンエンジン「μ10」の模型。ちゃんと中和器もついている

初日の午前中は、なんとNEC側のプロマネであった萩野慎二氏が説明員として立っていた

「ASNARO」は重量500kgの小型衛星ながら、分解能50cm未満という、世界最高クラスの性能を目指す。文科省/JAXAではなく、経産省/USEFのプロジェクト

デジタルサイネージのデモでは、コンテンツとしてNECの歴代衛星が登場していた。マルチタッチで画像をグリグリ動かせる

同じく衛星メーカーである三菱電機は、太陽電池・リチウムイオンバッテリなどの宇宙用コンポーネントや、標準衛星バス「DS2000」をアピールしていた。DS2000は準天頂衛星初号機「みちびき」などですでに採用例がある。

同社はかなりの面積を使って宇宙ビジネスを紹介していた

衛星搭載用のリチウムイオンバッテリ。インテルサットにも使われているそうだ

衛星搭載用の通信アンテナ。CFRP製で非常に軽く、実際に持って軽さを体験できるようになっていた

DS2000を採用した通信衛星「ST-2」の模型も展示。海外の通信会社から受注した商業衛星で、すでに軌道上で稼働中

タイコ エレクトロニクスは、自社製のコネクタ、リレー、配線などが「はやぶさ」に搭載されたことを紹介。それらを活用したデモ機材として、今年は"手動ヘリコプター"を開発してブースに設置していた。抽選で当選すれば、来場者も搭乗可能だ。

これらの部品が「はやぶさ」に搭載されていたとのこと

同社のデモ機材はいつも大がかりだが、今年も必要以上に力が入っている。ハンドルを回して飛ぶことができる

ニチコンは、「はやぶさ」に搭載されたフィルムコンデンサ「EM」シリーズを展示。これは小惑星イトカワにおいて、ターゲットマーカーを識別するために使われたフラッシュで採用されていたものだ。問題なく動作し、サンプルリターンの成功に貢献した。

"宇宙初のフラッシュ"に採用されたフィルムコンデンサ。定格電圧は500Vで、容量は100μF

またスーパーコンピュータ「京」には、同社製のアルミ電解コンデンサが10万個以上も搭載されているとか