ワイズテクノロジーは10月3日、米Wyse Technology 社長兼CEO Tarkan Maner氏の来日に伴う記者会見を開催。同社の基本戦略と日本市場向け提供製品の拡充を発表した。
シンクライアントの老舗 Wyse、クラウド時代の新管理技術も発表
米Wyse Technology 社長兼CEO Tarkan Maner氏 |
Wyse Technologyは、1981年に設立された、シンクライアントソリューションを提供する企業。Microsoft、VMware、Citrixなど、各社の仮想デスクトップ技術に対応したシンクライアント端末を販売するほか、iPad上で仮想デスクトップを動作させるアプリケーション「PocektCloud」やシンクライアント環境向け管理ソフトウェア「Wyse Device Manager」なども提供している。
Maner氏は発表の中で、クラウドコンピューティングの普及に伴い、シンクライアントのニーズが急激に高まっていることを紹介。3年前まで100万台程度だった出荷台数が、現在は400万台を超えており、2013年には2500万台近くに上るといった調査結果を引用した。Wyseは、そのシンライントの世界市場で約30%のシェアを誇るといい、特に教育、病院、銀行で多くの導入実績を残しているという。
また、Maner氏はシンクライアントソリューションのメリットについても言及。具体的な項目として、セキュリティの向上、コンプライアンス対応、管理作業の効率化、信頼性の向上、迅速な導入、ビジネス継続性、節電/環境対策、利用場所を選ばないこと、などを挙げた。これらのうち、特に強調されたのが節電/環境対策。通常のPCが200Wを消費するのに対し、Wyseのシンクライアント端末は6W前後。端末によっては2W以下のものもあるという。震災後特に消費電力削減のニーズが高まっている日本では問い合わせも多く、導入企業の数も急激に増えていることなども紹介した。
さらにManer氏は、同社の新たなビジョンとして「Project Stratus(層雲)」を発表。これは、シンクライアントだけでなく、通常のPCやモバイルデバイス、さらにはネットワークデバイス/OA機器も含めて一括管理できる環境を提供しようというもので、端末によってはエージェントを導入して状況を監視し、問題に対してプロアクティブに対応できる環境を構築するという。こちらは、対応ソリューションを今年12月~来年1月にかけてリリースしていく予定で、Maner氏は「楽しみにしてほしい」とコメントした。
日本で3製品を新たに投入
ワイズテクノロジー 日本法人代表の松浦淳氏 |
続いて登壇したワイズテクノロジー 日本法人代表の松浦淳氏は、IDC Japanの調査結果を引用し、国内のシンクライアント市場も世界市場と同等のペースで成長を遂げるとの見方を紹介したうえで、同社の2011年度売上も前年比倍以上に達する見込みであることを説明した。
また、一口にITユーザーと言っても、コールセンターや定型業務に従事する比較的シンプルな"Task Workers"から、ドキュメントの作成に加えて電話会議/マルチメディアなども利用する一般的なビジネスマンの"Knowledge Workers"、3D CADなどを利用する"Heavy Users"までさまざまなであることに触れ、各ユーザーのニーズに合ったエンドポイントソリューションを提供していくことを強調した。
こうした施策の一環として松浦氏は新たに、省スペース/ローエンドモデルのデスクトップシンクライアント「T50」、デュアルVDI/高速CPUを搭載したハイエンドモデルデスクトップシンクライアント「Z90SW/X90DW」、14インチのノート型シンクライアントモデル「X90mw」の3機種を国内市場に同時投入することを発表。ユーザーが自社の環境に合った適切なソリューションを選択できる状況が整備されたことを改めて説明した。
同時にリリースされる、iPhone/iPad、Android向け仮想デスクトップクライアント「PocketCloud Enterprise」と併せた4製品の概要は以下のとおり。
価格はオープン価格となっている。