計測機器ベンダ大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは、USB 3.0/2.0プロトコル・アナライザ(USBプロアナ)「U4611A」「U4711B」およびUSB 3.0プロトコルジャマー「U4612A」を発表した。

これらの製品はSirialTekから買収したUSB関連技術を活用したもので、USBプロアナは、最大18GB(U4611Bの場合。U4611Aは2.25/4.5/9GBを選択可能)のトレースバッファと、550MB/s(PCI Express Gen2×4)データ・アップロードによる高速な解析メモリアクセスが特長。すでに同社ではUSBの物理レイヤ向けソリューションの提供は行ってきており、これによりUSBに関するすべてのレイヤをカバーできるようになった。

同社がこれだけの量のメモリを搭載したのは、「エラーが発生するということは、その前段階で問題が発生しているということ。そうした因果関係をUSB 3.0という高速な環境で知るためには、メモリが多くないと長時間のキャプチャができないため」と説明する。例えば、USB 2.0(480Mbps)で約10秒間のキャプチャできたとしても、そのほぼ10倍の転送速度となるUSB 3.0(5Gbps)では、同容量のメモリのままであれば約1秒程度のキャプチャしかできないこととなり、それだと解析しようにもできない状況となっていた。

また、単にメモリを増やしたところで、それに伴う解析の待ち時間が増加したのでは、作業に支障が出てくることから、同社ではハードウェアによるサーチを採用することで、データのアップロード中などでも解析を可能としたほか、GUIが要求する部分を優先して取り出したり、といったことも可能となっている。ちなみにこのGUIは、SirialTekが提供しているSATA向けプロトコル・アナライザのGUIと同様のものであり、併用することでSATAとUSBのステータス、電圧、電流状況といったものを一目で確認することが可能となっている。

実際に9GBのデータ保存を行うデモでは、1分程度で実行され、かつタイムスタンプなどのデータを含んでも8.2GB程度へと圧縮されていた。また、この保存中に、トリガをかけた部分のデータを確認したりすることも可能となっていた。

一方のプロトコルジャマーは、実際の接続環境下において、簡単に意図したエラーを挿入するといった再現実験が可能な機器。意図的なエラーを発生するために検出したイベントを編集、削除して送信することが可能となっている。

なお、いずれも製品も即日受注を開始しており、10月末からの出荷を予定している。価格は3製品ともに5年保証が付いてU4611Aが79万865円から、U4611Bが190万6159円から、U4612Aが230万5872円からとなっており、同社ではチップベンダや組込機器ベンダなどを中心に2台目需要などを含めて販売を進めていきたいとしている。

上から順にUSB 3.0プロトコルジャマーのU4612A、USB 3.0プロトコル・アナライザのU4611A(トレースバッファ9GB搭載)、SirialTekのSATAプロトコル・アナライザ。すべてをつないで1つのGUIでそれぞれの解析を行うことも可能