いざ印刷通販にチャレンジしようと思っても、入稿前には「ホントにこのデータで大丈夫?」と不安になってしまうもの。顔が見えないやり取りだけに、ちょっとしたデータ作成上のミスが納品段階のトラブルに発展することがある。そこで印刷通販サイト「アルプスPPS」のプロ目線でのコメントを交えながら、印刷でトラブルになりやすい項目をピックアップして5回にわたって紹介していこう。

オーバープリントの処理について

デザイン上の意図がない限り、オーバープリントは使わない方がベター。とくに注意したいのが「白色(紙色)」に謝ってオーバープリントを適用してしまうケース。これはそのまま印刷されると「白」で指定した部分が消えてしまい、背景オブジェクトなどがそのまま出てきてしまう。

たとえばAdobe Illustrator CSシリーズやAdobe Acrobat Proシリーズであれば、「オーバープリントプレビュー」や「出力プレビュー」を使って印刷の仕上がりをプレビューで確認できる。データが出来上がったら、これらのプレビュー機能を使って事前にミスがないかを確認しておこう。

誤って「白」にオーバープリントを適用すると何もなかったように印刷される。そうならないために、「属性」パレットで確認しよう

「透明機能」は使っても大丈夫?

Adobe Illustrator 9で登場した透明機能はデザインの表現の幅が広がる、ドロップシャドウが簡単に付けられるとたくさんの人が使いたい機能のひとつとして取り上げられた画期的な機能だった。一方で印刷の現場では出力システムのバージョンアップなど環境の整備がなかなか統一されなかったので「きちんと透明効果が再現されない」、「分割された部分の色が違う」といったトラブルも多かったようだ。

現在では、「機械性能も向上して透明機能に完全対応した製版用RIPも登場しているため過去にあったような印刷事故はほとんど発生しない」とアルプスPPS。

ただ、「透明処理を多用したデータをEPS形式で保存し、PDF-X/1aの形式で保存した場合は透明部分やドロップシャドウ部分に分割線が発生しやすい」とのこと。最新のAdobe CSアプリケーションを使う場合は、なるべくネイティブファイルの状態で保存した方が余計なトラブルに遭うこともなさそうだ。