10月3日~5日(太平洋夏時間)の3日間、米Adobe Systems主催のユーザーカンファレンス「Adobe MAX 2011」が開催される。すでに1日よりプレカンファレンスが始まっており、開発者やデザイナーからビジネスリーダーにいたるまで、世界中のAdobeユーザが会場となるカルフォルニア州のロサンゼルスコンベンションセンターに集合している。
10月初旬リリース予定のFlash Player 11 / AIR 3
例年、MAX会期中には新製品や最新テクノロジーのトレンド、今後の展望など、様々な発表が行われる。すでに次期Flashプラットフォームとなる「Adobe Flash Player 11」と「Adobe AIR 3」が発表されており、MAXではその新機能や将来の展望に関する情報に注目が集まっている。
Flash Player 11およびAIR 3では、オンラインゲームやコンテンツ配信、ネイティブコードとの連携などといった機能の強化が行われ、その表現力は大幅に向上している。特に注目すべきは2D/3Dグラフィックスのレンダリング機能の強化。新たに搭載される「Stage 3D」と呼ばれるアーキテクチャでは、ハードウェアアクセラレーションを利用した高速なレンダリングによって、高速な2D/3D描画を極めて低いCPU負荷で実現することができる(Stage 3Dの原理については、昨年のAdobe MAXのレポートも参照していただきたい)。
また、AIR 3で追加される「AIR Native Extensions」では、各種デバイスのネイティブコードで記述されたライブラリを、AIRアプリケーションから呼び出すことができるようになる。これによって、デバイス固有のハードウェア/ソフトウェア機能の利用やデバイス内のデータへのアクセスなどが可能となる。iOSはAIRを通じてサポートされる。その他にもOSネイティブのテキスト入力画面が利用できるようになるなど、端末ごとの特徴を生かしたアプリケーションの開発を可能にするのがFlash Player 11/AIR 3である。
プラットフォームに合わせて開発ツールもアップデート
プラットフォームの進化には開発ツールによるサポートも必須となる。Flexフレームワークの次期バージョンとなる「Flex 4.6 SDK」および統合開発ツール「Flash Builder 4.6」は今年後半にリリースされる予定と発表されており、主にモバイルデバイス向けアプリケーションの開発サポートが強化される見込みだ。例えば新しいUIコンポーネントの追加や、画面の向きに応じた表示方向指定のサポート、ネットワークモニタやユニットテストのサポート、「Native Extention」によるネイティブコード呼び出しのサポートなどといった新機能がある。
Flash Player 11/AIR 3と合わせて、これらの開発ツール群の動向にも注目しておきたい。
Webを強化するHTML5
様々な論争は見られるものの、HTML5に対するAdobeの姿勢は一環している。HTML5はWeb標準であり、ユーザが必要とする限り、ツールの提供も含めて積極的にサポートしていくというものだ。
その姿勢の現れとして、同社ではこの夏、HTML5によるWeb開発をサポートする2つのツールを発表した。HTML5/CSS3技術をベースとしたオーサリングツール「Edge」と、HTMLやJavaScriptをコーディングすることなくWebサイトを構築できるアプリケーション「Muse」である。いずれもパブリックベータ版の段階だが、このMAXで最新情報が飛び出すことは間違いないだろう。
その他、Dreamweaver CS 5.5ではjQuery MobileやPhoneGapといったモバイル端末向けフレームワークがサポートされているが、これらのフレームワークはHTML5による表現力を大幅に高めてくれるものである。Adobe LabsではFlashアニメーションををHTML5に変換する「Wallaby」というツールが公開されており、その動向も気になるところである。
日本でAdobe MAX 2011を楽しむには
Adobe MAX 2011に参加にするため、日本からも開発者・デザイナーの面々が渡米している。その有志によって、日本にいてもMAXの雰囲気を味わうための企画が進められている。ひとつは現地からの最新の情報を集約した「ADC Community Lounge 特設ページ」。参加者がブログ形式で現地からの情報を提供する。
また、昨年好評だった参加者によるリアルタイムツイート企画「MAX野郎ツイートチーム」が今年も結成され、Twitterハッシュタグ#maxjpで現地からの生のツイートを見ることができる。