サイボウズは、内部のファイル形式を見直し、同社のデータベース製品「デヂエ」の機能を取り込んだ、中小企業向けグループウェアの最新版「サイボウズ Office 9」を発表し、販売を開始した。
今回は競合製品を意識した価格改定が行われ、スタンダードの10ユーザー版は年額79,800円から63,800円にするなど、値下げが行われたほか、新たに150ユーザー版や250ユーザー版ライセンスが追加された。また、スタンダード版には、従来追加オプションで提供していたワークフロー、プロジェクト、報告書、ケータイライセンスを包括した。
「サイボウズ Office 9」では、グループウェアの基本機能に加え、業務に合わせたツールを作成する簡易的なデータベース機能(デヂエ)を利用できる「カスタムアプリ」を新たに搭載。カスタムアプリを使うことで、売上や備品などの情報を「サイボウズ Office 9」に集約できるほか、共有タスク管理ツールとしても利用でき、タスクを他のユーザーへ受け渡し「作業中」「保留」「作業完了」など、ワークフローのように運用することもできる。また、データの登録・編集・削除をメールで通知できるほか、スケジュール、掲示板、メッセージ等と連動が可能。
なお、「カスタムアプリ」を利用するには、「プレミアム」ライセンスを購入する必要がある。プレミアムライセンス価格は、10ユーザー版で82,800円からとなっている。
なお、同社では来月にもクラウド版のグループウェアを発表する予定で、1ユーザーあたり月額500円で提供するほか、12月にはエンタープライズ向けのガルーンの新製品発表を予定している。
サイボウズ KUNAI for iPhone/Androidを機能強化
また、社外からサイボウズ製品の情報にアクセスするためのスマートフォン向けアプリ「サイボウズ KUNAI」も強化。これまでスケジュール機能中心の「KUNAI Lite」とメッセージやワークフローも利用できる「KUNAI」という2つのラインナップがあったが、今回のリリースで「KUNAI」に一本化し、無料で提供する。
KUNAIで提供する主な機能は、スケジュール、お気に入り、Cybozu.net、ワークフロー、通知一覧、個人設定、メッセージ(社内メール)、アドレス帳、ダウンロード一覧。
また、「サイボウズKUNAI」のオプションとして、「社外からのセキュアなアクセス経路」、「リモートワイプ」、「端末管理」、「ユーザー管理」をセットにしたMDM(Mobile Device Manager)パックも提供する。セキュアなアクセスでは、端末識別コードや端末固有IDなどにより、サイボウズの中継サーバが認証し、中継サーバとユーザーサーバとは証明書を使って認証する。
なお、リモートワイプ機能は、端末自体を工場出荷状態に戻すのではなく、サイボウズ関連のデータを消去する。
KUNAI MDMパックの価格は、5ユーザー版の年間48,000円から。
代表取締役社長の青野慶久氏は、「3年前、我々は大きな決断をした。それは、Googleさんやセールスフォースさんのような新しいコラボレーションツールが出てくる中で、これまでのグループウェアの延長線上に我々の未来はないということだ。そして3年間、新製品に向けた大きな投資をしてきた。その結果が今の時期の発表になった。結論を言えば、我々のミッションは『チームあるところにサイボウスあり』ということで、チームを支援する会社になろうということだ。これからは、これまでのグループウェアに縛られることなく、チームの協調作業を支援する会社なる」と述べた。