9月28日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪にて、「マイクロソフト コンファレンス 2011」が開幕した。先日発売された「Windows Phone IS12T」に組み込まれ、Windows 8でも採用される予定の新UI「Metro」と同様のデザインが、会場の装飾や発表スライドなどに使用され、Microsoftの新しいイメージを来場者に強く印象付けるイベントになった。
本稿では、初日のKeynoteの模様を簡単にお伝えしよう。
クラウド×マルチデバイス時代に
真価を発揮するマイクロソフトの総合力
日本マイクソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏 |
Keynoteには、日本マイクソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏が登壇。同社のB2B向け企業戦略と、現在注力している新技術を紹介した。
樋口氏が講演の中で強調したのは「マイクロソフトの総合力」だ。氏は、マルチデバイス、クラウドコンピューティングの時代にエンド・トゥー・エンドでソリューションを提供できる技術力を同社が有していることを強調。オンプレミスで稼動している既存の資産も活かすかたちでクラウドコンピューティング環境を利用できるうえ、Microsoft OfficeやSharePoint、Exchangeなどを利用しやすいWindows Phoneのリリースにより、移動中や外出先からも業務データにアクセスできることを改めて説明した。
クラウド時代に最適化されたWindows Phone IS12T
日本マイクロソフト 業務執行役員 コミュニケーションズパートナー統括本部長 兼 コミュニケーションズインダストリー統括本部長の横井伸好氏 |
講演の中で特にクローズアップされたのが、発売されたばかりの「Windows Phone IS12T」と現在開発中のシステム管理製品「System Center 2012」だ。
これらのうちWindows Phone IS12Tに関しては、日本マイクロソフト 業務執行役員 コミュニケーションズパートナー統括本部長 兼 コミュニケーションズインダストリー統括本部長の横井伸好氏が、デモを交えながら同製品の基本機能を紹介した。
「人を中心としたコミュニケーションツール」というコンセプトの下、連絡先管理機能に電話をかけたりメールを送ったりするだけでなく、SNSの個人ページにアクセスできる機能も搭載されていることや、横スクロールが可能なパノラマ画面を採用しており、視線を切ることなく多くの情報を閲覧できるため、思考を中断させることがないことなどを説明した。また、各種の動作も軽快で、「ネット上ではヌルヌルサクサクに動作する、ヌルサク端末として好評を博している」という。
加えて、Microsoftが提供するSaaS型業務アプリケーションサービス「Office 365」や個人向けオンラインストレージ「SkyDrive」、さらにはオンプレミスのSharePoint、Exchangeなどを簡単に利用開始できることも紹介。さらに、対応アプリケーションに関しても、既存のMicrosoft技術を使って開発できるため、開発者に大きな負担を強いることがないとした。
同端末についてはすでに、カブドットコム証券が全社員に配布することを決めているうえ、カブドットコム証券のユーザー向けサービスでもWindows Phone対応アプリケーションを12月にリリースする予定になっているという。加えて、Windows Phone向けサービスの拡充を進めるパートナーも着実に増えており、例として、大塚商会が企業向けサービス「たよれーる」においてOffice365を提供することを明かし、Windows Phoneユーザーをサポートしていくことが明かされた。
運用の自動化をさらに推し進めるSystem Center 2012
日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の梅田成二氏 |
一方、System Center 2012に関しては、日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長の梅田成二氏が登壇し、煩雑化する仮想化環境を効率的に管理できる自動化機能が新たに組み込まれることが説明された。
氏はまず、Hyper-Vが仮想化ソフトウェアとして企業導入率No.1に輝いたことに触れたうえで、そのHyper-V環境との親和性が高い管理ソフトウェアとしてSystem Centerを紹介。特に次期バージョンでは、運用プロセスの自動実行を促進する「Run Book Automation」の機能が拡充されていることを解説した。
デモでは、週末の運用を省電化するという想定の下、稼動中の4台の物理サーバのうち2台を停止させ、その2台の上で動作する仮想マシンを残りの2台に移すというフローが披露された。System Center 2012では、GUIのデザイナーを使い、自動実行処理を行うコンポーネントをドラッグ&ドロップで組み合わせるだけで、各種の処理フローを定義することができる。その定義を済ませておけば、エンドユーザーからの依頼があった際も、承認ボタンをクリックするだけで必要な処理が自動実行されるようになるという。デモでは、エンドユーザー向けのサービスポータル画面からサーバー停止依頼を行い、管理者向け画面でサービスのリクエストを承認するだけで、2台の仮想マシンが移設され、自動的にシャットダウンする様子が示された。
そのほか、クラウドに関しては、Microsoft以外では初めて、富士通がWindows Azureを活用したクラウドサービスをスタートさせたことや、Office365に対して最初の2週間で5万社がトライアルを行い、3ヶ月で100社のパートナーが増えたことなども紹介された。
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樋口氏は、最後に「日本はこれから、元気にならなければいけない」とコメント。「社会貢献活動に参加していると、地域の能力がITによって押し上げられ、活性化している様子が肌で感じられる。ITは、日本を支える中堅/中小企業を活性化される手段の1つになるかもしれない」と続け、今後も企業を後押しする技術や施策を提供していくことを力強く宣言した。