STMicroelectronicsは、放射線耐性を強化した欧州の航空宇宙産業向け製品(Rad-Hard製品)ポートフォリオとして、米国DSCC機関のAmerican QML-V規格による製品認可を取得した4種類のオペアンプを追加したことを発表した。これらの製品を活用することで、宇宙空間のような極限環境下における機器の耐用年数を長期化することができると同社では説明している。
米国衛星工業会(Satellite Industry Association)の調査では、世界の衛星業界は順調に成長を続けており、2010年には全世界での合計売上規模は1681億ドルに達し、過去5年間の業界の年間平均成長率は11.2%だという。特に、エンタテインメント、ナビゲーション、通信などの日常生活における多くの活動が衛星に依存するようになってきており、それらが正しく機能し、より高い信頼性を備えるためには、宇宙空間に存在する高レベルの放射線への耐性が電子部品に不可欠となる。
そうした状況の中、同社は低線量率の放射線を含む300krad(Si)の電離放射線に対する標準強度(トータルドーズ耐性:TID)を確立しており、航空宇宙業界における1つの基準となっているほか、放射線耐性保証(Radiation Hardness Assurance:RHA)認定製品として最初に低線量率増感フリー(ELDRSフリー)ICを提供したサプライヤとなっている。
今回発表された4製品はいずれも同社のBiCMOS技術を用いて設計されており、宇宙用認定を取得した時点で欧州推奨部品リスト(EPPL:European Product Part List)に追加されている。
「RHF484」は、同社が従来提供してきた「RHF43B」の4チャネル品で、業界標準品の代替となるもの。Flat-14Wパッケージに搭載され、2011年8月にQML V認定を取得している。
また「RHF310/330」は、広範囲の信号コンディショニング・アプリケーション向け5Vオペアンプで、120MHz製品および1.0GHz製品は、既にQML V認定を取得済みで、550MHzの「RHF350」は、2011年第4四半期に認定を取得する予定となっている。
なお、これらの製品は、シングル・イベント過渡に特に配慮した設計となっており、小振幅、短期間グリッチという完全な特性が保証されているという。