ルネサス エレクトロニクスと同社子会社であるルネサス モバイルは9月29日、速度計、タコメータなど運転走行情報のグラフィックス表示やビューモニタのカメラ画像などを表示する車載ディスプレイ向けSoC「SH7769」を製品化し、即日サンプル出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は5000円で、2013年6月からの量産を開始し、2014年6月には月産3万個の規模にする予定。
同製品は、同社としては初めての車載用ディスプレイ向けに特化したSoCで、CPUコアにSH-4Aを、3DグラフィックスエンジンにはImagination Technologies(IMG)の3DグラフィックスIP「PowerVR SGX530」をそれぞれ採用し、1600×480ピクセルに対応したディスプレイユニット、高性能カメラ画像表示機能、および高信頼性システム用機能なども搭載している。
同IPは標準インタフェースでOpenGL ES2.0に対応し、リアルなインスツルメントクラスタシステムや車内情報をドライバへわかりやすく伝達するための多彩な3Dグラフィックス表示や操作性向上が図れるGUI表示などを実現することが可能だという。
また、後方など等車外の周辺を監視するためのカメラや、ナビゲーション、ナイトビジョンなど複数の情報を同時にドライバへ伝達できるように最大3つのビデオ情報を入力することが可能。特にカメラ入力において高速かつ低消費電力で魚眼レンズによる歪んだ画像を補正する機能IMR(Image Render)や、NTSCデコーダを内蔵しているため、外部部品削減によるシステムコストの低減が可能となる。
さらに、カメラ歪み補正モジュール専用機能として「IMR-LSX」と、任意の画像を補正するための「IMR-X」をそれぞれ1チャネル(1本)チップに内蔵。IMR-LSXは魚眼レンズを装着したカメラから入力された画像の歪みをフラットに補正することができ、ハードウェア処理のため、CPUがソフトウェアに基づいて処理する場合と比べ高速化と低消費電力化が図れるようになる。一方のIMR-Xは画像データを、任意の形に変形することが可能でありHUD(Head Up Display)の画像変換としても使用可能だとしているほか、同時に1つのデジタル画像入力からのデータと、HUDなどへの出力画像データを変換することが可能だという。
さらに、3Dグラフィックスなどのスムーズな表示のために、1067Mワード/秒に対応したDDR3-SDRAMインタフェース(533MHz動作の16ビット専用バス)を搭載しており、最大で2.13Gバイト/秒の高速データ転送を実現しているほか、いち早くシステムの誤動作を検出することを目的としたPAM(Physical Address Management)およびDISCOM(Display Compare Unit)を内蔵しているため、信頼性の高いシステムを実現することが可能となっている。