SAPジャパンは、Black Berry、iPhone/iPad、Android端末など、スマートデバイスで業務データを参照できるエンタープライズ・モバイル・アプリケーション27種類の日本語版を、第4四半期より提供開始すると発表した。
今回提供開始を予定しているエンタープライズ・モバイル・アプリケーションは、営業や製造現場のほか、外出先や移動途中で企業情報をリアルタイムに閲覧する必要がある管理者向けなど、利用シーンに合わせてラインナップしている。
具体的には、以下のアプリが提供される。
「ライトアプリケーション」
・SAP Employee Lookup(従業員検索)
・SAP Customer and Contacts(得意先検索・照会)
・SAP Sales Order Notification(受注ステータス参照)
・SAP Material Availability(在庫照会)
・SAP Payment Approvals(購買承認) など全21種
エンタープライズアプリケーション」
・SAP CRM Sales(CRMセールス) など全5種
「コンシューマーアプリケーション」
・SAP Citizen Connect(住民サービス)
これらのモバイルアプリケーションは、SAPジャパンが提供しているSybase社のモバイルアプリケーション開発基盤「Sybase Unwired Platform(SUP、Sybase・アンワイアード・プラットフォーム)」上で稼働する。SUPは、モバイルアプリケーションの開発~実行までを提供するプラットフォーム。マイクロソフト、オラクル、IBMのアプリケーションやデータベースへの接続、Eclipseのプラグインで提供されたツールによるモバイルアプリの開発環境を提供する。
また同社では、スマートデバイスのアプリケーション管理やリモードワイプなどのモバイルデバイス管理(MDM)機能を、Afariaによって提供する。
これらモバイルアプリケーションは、今後徐々に拡大していき、2012年のQ1には、計109以上のアプリが提供可能になるという。また、アプリはSAPジャパン自身が開発するだけでなく、パートナーによる提供も積極的に行っていくという。
SAPジャパンは、これらモバイルソリューションを提供し、既存ユーザーのデータ活用を促進していく。
SAPジャパン バイスプレジデント ソリューション営業統括本部 本部長 上野豊氏は、「モビリティはSAPの成長戦略の1つで、そのためにSybaseを買収した。そして、2011年のQ3では20社、Q4までに累計で30社のモビリティの顧客数を獲得できる見込みだ。今後、人員も現在5名体制から10名に倍増させる。ただし、Sybaseの製品を単に売っていこうというのがSAPの戦略ではない。既存ユーザーにデータを活用してもらうためにモビリティを位置づけている。また、提供するモバイルアプリケーションは、SAP自身が提供するだけでなく、パートナーの方にも開発してもらう。パートナー様はモバイルアプリケーションを販売し、我々はSUPのライセンス料が得られるWin-Winの関係だ」と述べた。
また、同社は顧客のモバイル活用を促進するするため、「Value Prototyping」、「Custom Development Project」、「Starter Pak」の3つのソリューションを新たに提供する。
「Value Prototyping」は、モバイル活用はしたいが、具体的にどうようなソリューションを導入したら効果が得られるのかわからないといった企業向けに、SAPが推進役となり、他社事例や市場傾向、業界規制といった情報を提供しながら、顧客ニーズをヒアリングし、そこで導き出された構想を元に、プロトタイプを作成し、提供するというもの。漠然した顧客ニーズを、プロトタイプという具体的なアプリに具現化するのが狙いだ。
「Custom Development Project」では、プロトタイプアプリの結果を踏まえ、ユーザー環境でのパイロット導入、本稼働システムでの開発から導入までを提供する。
そして、「Starter Pak」は、モバイルアプリケーションを自社で開発する企業向けに提供するもので、モバイル開発基盤である「Sybase Unwired Platform」を使って、モバイル開発プロセスやSAPシステムとの接続方法、画面開発などのスキルトレーニングを提供する。このサービスでは、ユーザーが実際に利用しているシステム環境を確認し、「Sybase Unwired Platform」環境をインストール、プロトタイピング開発実習を通じてスキルを習得させる。