タカラバイオは9月26日、群馬県衛生環境研究所との共同研究の成果に基づき開発した、リアルタイムPCR法を用いて、ノロウイルスを特異的かつ迅速に検出・同定する研究用試薬「TaKaRa qPCR Norovirus (GI/GII) Typing Kit」を発売した。価格は50回分で9万4500円、250回分で37万8000円としている。
ノロウイルスは、感染性胃腸炎を引き起こすウイルスで、冬季を中心に流行する食中毒の主な原因として知られている。ノロウイルスは、感染力が強く、手指や食品などを介して経口感染する性質を持っているため、集団食中毒の原因になることもあり、そうした集団感染の防止に向けた感染者の特定を行うための検査が重要と考えられている。
すでにノロウイルス検査については、食中毒の予防を目的として厚生労働省(厚労省)から通知されている「大量調理施設衛生管理マニュアル」にも記載されており、給食センターなどの大規模食品関連施設の調理従事者などに対して、ノロウイルスの検査が実施されており、現在、厚労省より通知された「ノロウイルスの検出法について(公定法)」に収載されているリアルタイムPCR法が、食中毒行政検査を行っている国内の公設試験研究機関(地方衛生研究所など)で活用されている。
同製品は、このリアルタイムPCR法によるノロウイルスの検出を従来よりも簡便、迅速に行えるようにしたもので、必要な試薬類をすべて含んでいるほか、PCRプライマー・プローブには公定法に収載された塩基配列が採用されている。
また、独自開発の高速逆転写酵素を使用しているため、検査のための反応時間が従来の2時間半から約1時間半へと短縮することが可能となっている。
なお、公定法に収載されたリアルタイムPCR法と同等の感度・精度を有することがすでに群馬県衛生環境研究所との共同研究において確認されているとしており、ノロウイルスの検査を実施している公的機関や臨床検査・食品関連企業などに販売を行っていくことで、発売から3年後に1億円の売り上げを目指すとしている。