村田製作所 故障解析センターと神戸大学理学研究科の 木村建次郎講師の研究チームは、電子部品内部の故障箇所を映像化する検査装置を開発したことを発表した。
電子部品の故障解析には断面研磨により故障部位を見つける方法や、X線CTや超音波顕微鏡などによる非破壊検査が一般に用いられている。しかし、断面研磨による解析は部品を破壊してしまうために本当に故障箇所であったかどうかが断定しづらく、X線CTや超音波顕微鏡では電気的な故障箇所の特定ができず、いずれも故障解析手法としては不十分という課題があった。
そこで、研究チームでは、積層セラミックコンデンサやモジュール部品などの電子部品に電流が流れると電子部品の周りには磁場が発生することに着目、その磁場の測定データを基に電子部品周囲において磁場の基礎方程式を解き、得られた磁場分布から電子部品内部の故障箇所を特定する手法を考案した。
同装置では、検査対象となる電子部品のパッケージ越しに内部の電流経路を映像化でき、装置の空間分解能は使用する磁気センササイズによるが、原理的に1μm以下の空間分解能を得ることが可能だとしており、これによりコンデンサや電池などのモジュール部品の問題箇所を正確に特定することが可能となり、信頼性の高い電子部品の開発が可能になると説明している。