SAPジャパンは9月15日、日産自動車が英サンダーランド工場内で来年操業を開始する、電気自動車(EV)向けリチウムイオン・バッテリ生産工場の生産計画系システムに、「SAP ERP」の採用を決定したことを発表した。同工場は座間事業所内の工場に次ぐ世界で2番目のリチウムイオン・バッテリ生産専門工場であり、座間事業所において2010年に構築されたシステムをグローバル展開する形となる。

バッテリは自動車と比べて生産リードタイムが長く、その特性に応じた生産計画や生産管理を統括する仕組みが必要とされているほか、多様な販路や出荷形態の管理、生産管理だけでなく営業から会計まで一連の企業活動のサポート、さらにグローバル展開を想定したシステム化が求められていた。

こうした要件から、ビジネスプロセスを担う「計画系システム」、バッテリー生産制御の「生産・工程管理システム」、品質管理支援の「トレーサビリティシステム」の3つで構成される統合システムのグランドデザインを決定。そのうちの計画系システムにSAP ERPが採用された。

将来的なグローバル展開を視野に、特に外部サービスとの接続や、ボルトオン(パッケージ上で動かすアドオンに対し、パッケージ外でスクラッチ開発した機能との連携)ごとのバージョン管理が容易であることなどが評価されたという。日産自動車では今後グローバル5拠点で年間50万基のリチウムイオンバッテリー生産を目標とし、EV戦略をさらに加速していく予定。