Freescale Semiconductorの日本法人であるフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは9月13日に開催した同社のテクノロジーフォーラム「Freescale Technology Forum Japan 2011(FTF Japan 2011)」にて、同社の「「Tower Systemモジュール式開発プラットフォーム」を拡張し、新たにPower ArchitectureテクノロジをベースとしたPowerQUICC「MPC8309」を採用したソリューションを提供することを発表した。

Power Architectureモジュールとして同社は、これまでに、産業ネットワーキングや車載、ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)などの市場向けの「MPC5125モジュール」を提供してきたが、今回のMPC8309ソリューション「MPC8309 Tower System 開発キット(TWR-MPC8309-KIT)」の後にも、PXシリーズ・マイクロコントローラおよびQorIQマイクロプロセッサに対応したTower System製品を提供していく計画としている。

同ソリューションを用いることで、60~2550DMIPSの性能を持つ同社のPower Architectureプロセッサに対応する共通プラットフォームを構築することが可能となる。 MPC8309に搭載されているPower Architecture e300コアは、倍精度浮動小数点演算、16KBの命令およびデータ・キャッシュ、最大835DMIPS(417MHz時)の性能を実現しつつ、消費電力を1.6W未満に抑えることが可能なコアで、プロセッサに統合されたQUICC Engineコントローラを用いることで、通常であれば外部のASICやFPGAを必要とするPROFINET、PROFIBUS、EtherNet/IPなどの通信プロトコルを実行できるため、コストの削減と設計の簡素化が可能になる。

開発キットは「MPC8309プロセッサ・モジュール(TWR-MPC8309)」およびオプションのLCDドータ・カード(MPC830x-TLCD)で構成されており、プロセッサ・モジュールは、ボードサイズ64mm×110mmで、IEEE 1588対応デュアル10/100 Ethernetポート、デュアルUSB 2.0コネクタ、PROFIBUS対応ツインRS-485ヘッダ、ヘッドフォンおよびマイクロフォン・ジャック用のオーディオ・ポート、MiniPCIコネクタ、ならびにSDカード・スロットなど、さまざまなコネクティビティを包括的にサポートしている。

一方のLCDドータ・カードは、12キー・タッチ・キーパッドを備えた3型×2型 OVGAカラー液晶ディスプレイ(LCD)を実現することが可能で、メイン・ボードに直接取り付けることで、スタンドアロンのシングルボード・コンピュータ(SBC)構成として利用することが可能だ。

なお、同プロセッサ・モジュールは199ドル(参考価格)、LCDドータ・カードの99ドル(参考価格)で、すでに注文受付を開始しており、配送は11月に開始する予定となっている。また、TWR-MPC8309プロセッサ・モジュールとCANをサポートするDB9コネクタを4ポート、モーターコントロール用4ポート、10/100 Ether(IEEE1588)ポート、SPI、I2Cポートで構成された「TWR-INDCRTL拡張カード」、そして1組のTWR-ELEVライザ・ボードを組み込んだ一括型の「TWR-MPC8309-KIT」は、2012年第1四半期に出荷開始を予定しているほか、PXシリーズ・マイクロコントローラについては、2012年初頭よりTower Systemで利用できる予定と同社では説明している。

TWR-MPC8309-KITの概要