Freescale Semiconductorの日本法人であるフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは9月13日に開催した同社のテクノロジーフォーラム「Freescale Technology Forum Japan 2011(FTF Japan 2011)」にて、同社のARM Cortex-M4ベースの32ビットマイコン「Kinetis」として、ローエンド製品向け「K10」ファミリおよび「K20」ファミリとして60製品を発表した。

これらの製品はバッテリ寿命の延長を狙った低消費電力モードを搭載しており、ローパワー・ラン・モードで630μA(CPUは4MHz動作、1MHzあたりでは160μA)での動作を実現しているほか、最も低い消費電力モードでは40nAの消費電力を達成したという。

32ピンQFN(5mm×5mm)から64ピンLQFP(10mm×10mm)までの5種類のパッケージが用意されており、それぞれ32KB~128KBのフラッシュメモリが搭載されている。90nmのTFS(薄膜ストレージ)プロセスを活用したローリーケージ・フラッシュ技術と最大32KBのFlexMemory(2KBの内蔵EEPROMに相当)を搭載しているほか、16ビットのA/Dコントローラ、フルスピードUSB On-the-Goコントローラ、USBスタック、タッチセンサインタフェースといったペリフェラルも搭載されている。

同社では50MHz品を一部のカスタマに向けて2011年第4四半期にサンプル出荷を開始する予定とするほか、一般市場向けのサンプル出荷を2012年第1四半期に予定しており、1万個購入時の単価は0.99ドル(参考価格)としている。

Freescale Semiconductor Vice President,Industrial & Multi-Market MCUs Microcontroller Solutions GroupのGeoff Lees氏

なお、同社では同製品をファクトリオートメーション用I/Oモジュール、ポータブルヘルスケア機器、USBマイクロフォン、ゲーム用ヘッドセット、スマートグリッドなどに向けて提供していくとしており、「そうした分野では電力効率の向上やアナログのデジタルへの置き換えのほか、ワイヤレス給電なども注目度が増してきており、それによりこれまで安定成長と言われてきた産業機器の分野に変化が訪れようとしている。また、システムの複雑化に反し、開発サイクルの短期間化への要求が増しており、1つの開発プロジェクトに対する開発期間は2009年かた2014年までの5年間で1/3程度に圧縮することが予測されている。我々としても、そうしたニーズに対応できるIPの再利用などを可能とする開発キットの提供などを推し進めていくなど、注力して行っていく」(同社Vice President,Industrial & Multi-Market MCUs Microcontroller Solutions GroupのGeoff Lees氏)と、産業機器分野に向けたマイコン戦略を推進していくことを強調した。