Freescale Semiconductorは、UHFテレビ送信機用アプリケーションをターゲットとしたRF LDMOSパワー・トランジスタ「MRFE6VP8600H」を発表した。
同製品は、従来製品比で出力性能が39%向上しており、ATSCやDVB-T、ISDB-Tなどのデジタル放送規格のいずれにおいても最大の性能を発揮するよう設計されている。そのため、例えば放送帯域全域にわたり125Wの線形電力(600W以上のピーク電力)を、860MHzで30%(標準)、ドハティ構成の場合は最大45%の効率で実現することが可能だ。
また、そのRF出力と効率により、従来システムに比べ、目的の出力に必要となるトランジスタやコンバイナステージの総数を削減することが可能となるため、送信機設計の簡素化が可能となり、信頼性を向上させるとともに価格の低減が可能になるほか、送信機では従来世代比で消費電力を15%削減できるようになるという。
さらに、定格の2倍の入力電力で駆動された場合でも、位相にかかわらず、65:1以上のインピーダンス不整合(VSWR)に対応し、完全な定格RF出力が提供され、このVSWR特性により、プリディストーション・システムによって生じる過大なピーク信号時でも、アンテナの着氷や送電線の障害、オペレータ・エラーなどの悪条件の下で、高い信頼性を実現することができると同社では説明している。
加えて、チャネル・フィルタなどによって生じる帯域外反射の負荷状況や、DVB-T(8k OFDM)など高次変調技術を活用するあらゆるデジタル放送方式が有する高いピーク対平均電力比(PAR)特性に対する耐性を備えているほか、VSWR特性が強化されているため、サーキュレータなどの保護回路の簡素化が可能となっている。
なお、同製品はすでに量産出荷を開始しており、広帯域用リファレンスデザインをはじめとした各種のサポートツールの提供も開始しているといる。