売上をもたらしてくれる顧客は本来ありがたい存在であるはず。だが、「ニーズが多すぎる」「何を望んでいるのかわからない」顧客は"厄介な存在"になりかねない。こうした顧客も、業績を考えると切り捨てられないことがほとんどだろう。
難しい顧客とどうやって付き合っていくべきか?――Mashableが「How To: Deal With Bad Clients」という記事で顧客との付き合い方を指南している。同記事はフリーランサーやSOHOなど個人事業主に向けたアドバイスだが、モンスター顧客に悩む企業のセールス担当者も大いに参考になりそうだ。
(1)"イヤな顧客"はいない - 悪いのは状況
要件がわかりにくい、注文や文句が多い、要求が次々と変わる、報酬が少ない……、顧客への不満はさまざまだろう。例えば、Webデザイナーなら、デザインについて要件定義を行わずに、「仕上がりを見れば、それが望みのものかどうかわかるから、まずは4種類ほど作ってくれない?」というような顧客を「イヤな顧客」と思うかもしれない。また、公認会計士であれば、申告期限の2週間前に段ボール箱いっぱいの請求書を持ち込むような顧客は遠慮したいだろう。
だが、「本当の意味で悪い顧客は、危険信号が出続けているのに継続して作業する顧客だ」という。その顧客のことを考えると夜も眠れない、電話がなるとビクビクする。こうした場合は、状況を前向きに改善しなければならない。
判断基準はいくつかある。1つは「売上」で、少ないならば値上げするのも手だろう。さらに、頻繁に発生する要求への応対に追われていないか? 要求は理不尽なものではないか? 時には、断固たる態度をとって、時間的猶予をいつもよりも長くもらってはどうだろうか。顧客との関係で重要なことは「相互にメリットがあること」だ。同記事では、「相互にメリットがない関係なら、状況改善に責任があるのはあなたにほかならない」としている。
(2)顧客に費やす時間を検査してみよう
特定の顧客に大半の労働時間を割かれている気がする――そう感じるなら、実際に費やしている時間を計ってみてはいかがだろう。往々にして、売上が低い顧客に対してそう感じる感じる可能性が高いが、時間とエネルギーをどれぐらい費やすかはビジネスにおいて重要な作業だ。うるさい顧客の対応に追われて、売上の高い顧客へのケアが後回しになっていないだろうか?
同記事では、2週間に1度、時間の使い方をチェックするようアドバイスしている。その際、顧客名と時間だけではなく、どんな作業だったのかの分類も忘れずに。もちろん、それをレビューして必要に応じて修正するべきだ。
(3)請求書と振込みを確認 - 長期サイクルを覚悟で
経済状況が好ましくないなか、支払いが遅れる場合もあるだろう。財務的に問題のない顧客であっても、多少の遅れが生じる可能性があるのがこのご時勢だ。
そのような遅れが、事業上重要な投資はもちろん、あなたの生活に影響を与えてしまうのではよくない。振込みまでは最低2~3ヵ月の余裕を見て、支障を最小限に抑えたいものだ。
(4)顧客内部の人間関係に巻き込まれるな
顧客企業がチームを組んでいるなどの事情から、複数の人とやりとりすることもあるだろう。その場合、顧客側のゴタゴタに巻き込まれると厄介なことになりかねない。
ゴシップや陰口には加わらないことは鉄則。同記事では、「チームの場合、どちらの側に付いたり、特定の人の影響を受けすぎたりしないように」と助言している。
(5)顧客を切ることも仕事
衝突は避けられるに越したことはないが、不利な状況や辛い状況に長くとどまると仕事の満足度は低くなり、感情面でのダメージも出てくるだろう。さらには、他の顧客との関係にも支障を与えかねない。
上記のような改善策を試しても効果がなかった場合は、その顧客との関係を終わるべき時なのかもしれない。
顧客に取引関係を終了したいと申し出ることは楽ではない。だが、これも仕事の1つだ。その際は、「明確に、落ち着いて」、感情的にならないようにしたい。あまり詳細に話をしすぎるのもNGだ。相手に議論の隙を与えかねない。「御社のニーズを満たせないようで、残念です」ぐらいにとどめておこう。
気を使うだろうが、これを乗り越えればその分の時間とエネルギーを新しいことに割けるのだ。より良い顧客と良い関係が待っていると信じて、乗り切ってほしい。