米HPは9月8日、アジア・パシフィック地域のプリンタ関連のプレス向けイベント「INNOVATION IMPACT HP」を上海で開催。昨年発表した「ePrint」テクノロジをさらに進化させた新たな製品を発表した。
昨年の6月、米HPは香港で今回と同様のプレス向けイベントを開催し、「HP ePrint」を発表した。「HP ePrint」対応プリンタは、個別にメールアドレスを持つことができ、そのメールアドレスに添付ファイルとして印刷したいドキュメントを送信すると、クラウド上の「HP ePrintCenter」を経由してそのプリンタからデータを出力できる。また、「HP ePrint」対応プリンタにインストールされたWeb接続可能なアプリケーション(HP Print Apps)により、PCを介さず直接プリンタに印刷することができる。
キーノートセッションで登壇した、米HPイメージング・プリンティング事業のエグゼクティブ バイスプレジデントビオメッシュ・ジョシ氏は、まずHPのIPG(Imaging and Printing Group)事業の業績について触れ、「IPGの売り上げは2001年には190億ドルであったが、直近では260億ドルと成長し、過去10年間で利益を倍増している。アジア・パシフィック地域はIPGの成長エンジンだ」と述べ、アジア・パシフィック地域の今後の成長に期待を寄せた。
そして、「新しい価値の創造はデジタル化によって生まれ、データをクラウドに移行することによって、さまざまな方法での接続が可能になる」と語り、データをクラウドを介して出力することで、新しい価値の創造が可能になるとした。その背景として同氏は、同社がすでに1,000万台を超えるWeb接続プリンタを出荷しており、2012年の12月にはその数は5,000万台にも及ぶことや、昨今のスマートフォンやタブレット端末の普及による、Webアクセス可能なデバイスの増加を挙げた。
そして、今回のイベントでは、「HP ePrint Home & Biz Mobile App」と、「HP PrinterControl Mobile App」という、2つのスマートデバイス向けアプリを発表した。
HP ePrint Home & Biz Mobile Appは、Android、iOS、Symbianの端末で利用できる無料アプリで、スマートフォンやタブレット端末から写真、PDF、テキストファイル、PowerPoint、Excel、WordなどのOfficeドキュメントのほか、Webページを「HP ePrintCenter」を介して、あるいはローカルのWi-Fi環境で印刷可能にする。印刷可能なデバイスは自動的に検出・セットアップされ、複数ドキュメントの並べ替えも行える。
一方、「HP PrinterControl Mobile App」では、スマートデバイス上で、プリンタの操作パネルの操作を可能にするアプリで、このアプリを利用すれば、コピーやスキャンをスマートデバイス上で行い、取り込んだ画像をfacebookやGoogleドキュメントに登録できるほか、メールで送信することも可能となる。また、プリンタのインク残量やプリントのステータスも確認できる。
また、「Social ID」というサービスも新たに提供され、これまで自動で割り当てられていたプリンタのメールアドレスをカスタマイズ可能になったほか、利用しているプリンタのファームウェアのアップデートも通知されるという。
そのほか、HP Print Appsでは、対応アプリケーションが増え100種類に達したほか、毎日指定した時間に配信する「Schedule Delivery」という機能も追加された。
3Dスキャンが可能なA4レーザー複合機「HP TopShot LaserJet Pro M275」
そして、今回のイベントでもっとも大きなトピックになったのが、3Dオブジェクトを取り込むことが可能なA4レーザー複合機「HP TopShot LaserJet Pro M275」の発表だ。なお、日本での発売は現在未定。
「HP TopShot LaserJet Pro M275」は、スキャナ台に製品を載せスキャンすることで、3Dオブジェクトの画像を取り込むことが可能。ドキュメントや3Dオブジェクトを6つの個別の画像で取り込み、継ぎ目のない1つの画像を作成する技術「HP TopShot Scanning」を搭載している。この機能を利用することにより、ネットショップで販売する商品画像を簡単に作成することができるようになるという。