Texas Instruments(TI)は、医療用、産業用および輸送機関において、安全規格の認証取得に役立つセーフティ・マイコン・ファミリ「Hercules(ヘラクレス)」を発表した。
同ファミリはARM Cortexコアを採用し、ARM Cortex-Rを搭載したを用いた医療用および産業用をはじめとした幅広いアプリケーション向け「RM4x」シリーズ、同じくCortex-Rを搭載し輸送機関連のアプリケーション向けに開発された「TMS570」シリーズ、そしてCortex-Mを搭載し、性能が多く求められない高いコスト効率を必要とするアプリケーション向け「TMS470M」シリーズの3シリーズが用意されている。
RM4xおよびTMS570シリーズは、2個のCortex-R4F浮動小数点コアのロックステップ実行により、高レベルのオンライン診断を提供する。また、CPUおよびすべてのバス・マスタはメモリ保護機能を内蔵しているほか、フラッシュおよびRAMにはECCを搭載し、性能を低下することなく、ロックステップCPU内でSECDED(シングルビット・エラー訂正およびダブルビット・エラー検出)を実行することが可能。
さらに、CPUおよびRAMはBIST機能を内蔵、ソフトウェアのオーバーヘッドなしで潜在的な故障を検出できるほか、ペリフェラルRAMのパリティ、2個のA/Dコンバータおよびタイマのほか、電圧およびクロックのモニタ機能を内蔵することで、高い診断機能を提供している。
加えて、高度なエラー通知モジュールを搭載することで、最終アプリケーションにおいてエラーの種類に応じて適切な処理を実現したほか、各種の安全標準規格の要件を満足するために必要な故障率を提供するFMEDA(故障モード、影響および診断分析)も供給される。
一方のTMS470Mシリーズは、最高80MHz動作のARM Cortex-M3コアを搭載し、低価格かつ高性能を実現している。AEC-Q100認証を取得済みで自動車の安全要件に適合できるほか、IEC 61508システム安全性要件にも対応している。
また、輸送機関連の主要なネットワーク機能であるLINおよびCANに対応し、320KB~640KBのフラッシュおよび、16KB~45KBのRAMを内蔵しており、各種のメモリ要件に対応することが可能となっている。
なお、3シリーズともにすでに供給を開始しており、1万個受注時の単価(参考価格)は5~30ドルとなっている。