新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、次世代パワーエレクトロニクス技術開発の研究委託先である技術研究組合「次世代パワーエレクトロニクス研究開発機構(FUPET)」が、小型ながら出力パワー密度30kW/lの完全空冷オールSiCインバータを開発、出力15kWモーターの連続動作に成功したことを発表した。

この完全空冷オールSiC三相インバータのプロトタイプ(モデル名:MAINA)の体積は市販のSi IGBTによる汎用インバータ比で1/10~1/20程度小さくなる500cm3ながら、出力パワー密度は30kW/l(30W/cc)を実現しており、これはCEATEC 2010で展示した初代のSiC三相インバータモデル(TOPPA)と比べて体積を維持したままで定格出力を50%向上させたものとなる。

汎用インバータとの比較

今回開発されたインバータ

今回のポイントは、小型冷却器で高い冷却性能を得るために、パワーデバイスが最大200℃で動作し続けられるように誤動作防止回路を内蔵した内部のモジュール(パワーモジュール)を熱シミュレーションにより設計したことにある。これにより、15kW出力時の電力変換効率約99%を達成したという。

なお、NEDOでは、今後もSiCインバータの設計の高度化を進めることでさらなる小型・大容量化をはかっていくほか、信頼性強化を進めることで、スマートコミュニティやEVなど、多くの応用分野へ展開できる技術として確立することを目指していくとしている。