セイコーエプソンは、独自のイメージエンハンスメント(画質向上)技術を採用した中小型液晶(LCD)パネル用画像補正IC「S2D13782F」を開発し、サンプル出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は、1個880円(税別)となっている。

表示機能を持つ組込機器において、LCDパネルのバックライトは消費電力に占める大きな割合を占めている。バックライトは電流を抑えることで消費電力を減らすことができるが、映像が暗くなり、表現力が損なわれるという課題があった。

同製品では、同社の携帯電話向けの液晶ディスプレイコントローラ向けイメージエンハンスメント技術「AME2EX(Auto Movie Enhancement 2 Extended)」を向上させ、LCDパネルの低消費電力化と色彩豊かな映像表示を両立させることに成功した。

同技術を用いることで、リアルタイムにLCDパネルのバックライトを適正な光量に制御することができるようになり、従来品比で30~50%の消費電力削減が可能となるほか、バックライトの制御と連動して、入力映像に対して自動的に最適な輝度、コントラスト、ガンマカーブ、彩度に補正することで、コントラストのある色彩豊かな映像表示を実現できるようになるという。また、バックライトを制御するための入力データは、表示映像または光センサの制御信号のどちらかを、カスタマ側で選択することも可能だ。

「AME2EX - Optimizer」技術により、バックライトの低消費電力化をしつつ、映像暗部の質感、鮮やかさを向上させることが可能

さらに、「Adaptive Sharpness」技術の採用により、入力映像からテキストと映像の領域を自動判別し、それぞれの領域に最適なエッジ強調処理を行うことで、字幕などのテキストデータの視認性をより向上させることが可能となっているほか、データ転送時のデータ切り捨てにより発生するグラデーションノイズやワンセグ放送などデジタル入力映像 特有のブロックノイズを低減し、自然で滑らかな映像の表現が可能な「Noise Canceller and Color Expander」技術も搭載されているという。

「Noise Canceller and Color Expander」技術によりブロックノイズを軽減、および「Adaptive Sharpness」技術によりテキストデータの見やすさを向上させることが可能