富士通セミコンダクタ(FSL)は9月6日、同社のARM Cortex-M3コア採用32ビットマイコン「FM3ファミリ」の第3弾として、64製品を順次サンプル出荷していくと発表した。
新たに追加された64製品は、ハイパフォーマンス(HP)グループ「MB9B610/510/410/310/210/110シリーズ」および「MB9BF618TPMC」など54製品ならびにウルトラローリーク(ULL)グループ「MB9A130シリーズ」10製品で構成されている。
今回のHPグループ製品群は、CPUの動作速度を従来の同グループ製品の80MHzから144MHzに高速化することで処理能力を向上させたほか、Ethernet-MACやUSB 2.0、CANなどを2チャネル搭載している。
また、フラッシュメモリの容量も512KB~1MBの種類、ならびに144~176ピンのパッケージラインアップとしており、CPUの高速化とSpansonと共同で開発したNOR型内蔵フラッシュメモリ「EcoRAPID」を組み合わせることで、144MHz時でも待機時間なしで読み出し応答、高速処理が可能となっている。
さらに、従来のFRシリーズで強みのあったモータ制御向けとして、高精度モータ制御への対応を図るため、各種周辺マクロの最適化を実施、A/D起動トリガや変換データ格納用FIFO、優先変換起動などの機能を搭載した逐次比較型12ビットA/Dコンバータ(ADC)を3ユニット、最大16チャネル搭載することで、モータ位置精度の向上を図ることが可能となったほか、クアッドカウンター(モータ回転位置検出カウンター)を搭載し、ハードウェアでモータ回転位置を検出することで、CPUへの負荷低減を図ることができるようになっている。
「ARMコアを搭載することはもはや競争力にならない。我々としてはFRマイコンで培った周辺機能などを提供していくことで差別化を図る」としており、フラッシュメモリに独自のセキュリティ機能を搭載することで、データ保護を実現したり、マルチファンクションシリアル(モータ用・ベースタイマ・多機能タイマ用途に最大8チャネル、ソフトウェアにてUART、SIO、I2Cにて設定可能)の搭載、安全回路向けハードウェア(ISO61508/60730対応)の搭載などと、サポートを提供していくことで付加価値を発揮し独自色を出していくとする。
一方のULLグループ製品群は、CPU動作周波数は20MHz、フラッシュメモリ128KB、駆動電源電圧1.8~5.5Vに対応し、リーク電流低減を目的としたパワーゲーティング技術の採用により、スリープモード、タイマモード、RTC(リアルタイムクロック)モード、ストップモード、ディープスタンバイRTCモード、ディープスタンバイストップモードの6種類の省電力モードを搭載している。これにより、要求される使用方法に合わせて、省電力モードを選択することが可能となり、特に日付・時間管理時にRTCモードを用いた場合、電力消費量は1.6μAに抑えることができるほか、内蔵フラッシュメモリの電源オフを実現できるディープスタンバイRTCモードでは1.2μAの電力消費量を実現している。
また、高信頼NOR型フラッシュメモリを搭載することで、書き込み回数10万回、記憶保持特性20年を実現。メモリアクセス時間は40MHzまで待機応答時間なしでアクセスすることが可能となっている。
さらに、12ビットADCを1ユニット・最大8チャネル搭載することができ、各種センサの高精度・高速トレースが可能となっているという。
なお、サンプル価格は1000個受注時でハイパフォーマンスグループの「MB9BF618TPMC」が780円、ウルトラローリークグループの「MB9AF132LPMC」が250円となっており、2011年末までに延べ200品種、2012年度末までに500品種以上の製品展開を図っていく計画としている。