国土交通省は8月31日、液状化対策技術検討会議による検討成果の発表を行った。
まず、「被害実態などの把握」に関しての報告では、東北地方太平洋沖地震で、関東地方においては1都6県にわたって少なくとも96市区町村におよぶ極めて広い範囲で液状化現象が発生したことが報告された。特に、東京湾岸部や利根川下流域などの埋め立て地、旧河道、旧池沼などに集中して液状化現象が発生したことが判明している。
続いて、「液状化判定法の検証および発生メカニズムの確認・解析など」に関しては、代表的な液状化判定法である「FL法(液状化抵抗率)」に対する評価などが行われた。まず、FL法が有用かどうかだが、液状化発生箇所および周辺の112カ所を対象として、FL法での液状化判定を実施したところ、液状化発生箇所はすべて「液状化する」と判定された。
非液状化箇所の内で相当数の箇所で「液状化する」と判定されたことはさらなる研究が必要ではあるが、液状箇所の内で「液状化しない」と判定される見逃しはなし。改良の余地はあるものとされたが、FL法による判定式は今回の地震による液状化の発生状況と概ね整合していると評価された。
今回の地震の特徴として注目された「継続時間の長さ」や「繰り返し回数の多さ」などの地震動特性については、FL法における考慮の方法(揺れの長い海溝型地震と短い直下型地震でそれぞれに係数Cwを設けて計算する方法)でも、一般的に液状化しやすいとされる地盤について、概ね整合して判定できると評価されている。
そのほか、現行FL法で液状化の見逃しが生じるほどの傾向ではないが、埋め立てなどによる造成年代の新しい地盤が、古い地盤より液状化しやすい傾向が見られることや、地震動の継続時間が長かった今回の地震では過去の短い地震と比較して液状化しやすい傾向が見られるなども確認された。
「検討結果のまとめと今後の課題」だが、FL法は今回の地震についても液状化発生を概ね整合して判定できており(つまり見逃しがゼロ)、ただちに見直す必要性は低いことが確認された。
その一方で、非液状化箇所の内の相当数の箇所で「液状化する」と判定結果が出たことや、液状化判定は発生有無の判定であり、地盤の変形量などを予測できるものではないことを踏まえ、造成年代や地震動の継続時間などにも着目してさらなる研究を進め、液状化判定法などの高度化を図り、寄り効果的な対策につなげる必要があるとしている。