Xilinxは8月31日(米国時間)、高度な保障が求められるアプリケーション向け低コスト/低消費電力の防衛グレードプログラマブルソリューションである同社FPGA「Spartan-6Q」が量産に入り、米国国家安全保障局(NSA)により暗号化システムのType 1としての使用が認定されたことを発表した。
同製品は同社の第3世代となるセキュア通信向け製品。NSAのテストに合格したことで、米国国防総省(DoD)のCryptographic Modernizationイニシアティブで定められている要件など、ハイグレードの暗号処理アプリケーションにおける厳しい要件への対応を求められる開発者に向けて、低消費電力で柔軟性の高いソリューションを提供することが可能となると同社では説明している。
また、今回の認定は、シングルチップクリプト(SCC)機能や、フィジカルデザインセキュリティ用のSecurity Monitor 2.0 IPコアの実現など、同製品のセキュア通信向けソリューションの主要エレメントも対象となっている。SCCは複数のFPGAの機能を1つのデバイスに実装するもので、高度なインテグレーションを実現することで、航空宇宙/防衛(A&D)分野の製品開発者がシステムのサイズや重量、消費電力、コスト(SWaP-C)の削減ができるようになるという。
NSAの認定で決め手となったのは、Spartan-6Qの機能のうち、改竄防止能力を損なわずに1つのデバイス内でユーザー機能のアイソレーション(隔離)を実現する点であったという。NSAは、Spartan-6Qファミリのフェイルセーフ解析を完了し、障害が発生した場合に1つの FPGA内の各領域を互いに隔離できることを確認。このアイソレーション・デザイン・フローおよび検証プロセスは、同社がNSAと協力して開発を進めてきたもので、従来ソリューションに比べてより高度な統合と高い信頼性を提供することができるようになったという。
アイソレーション・デザイン・フローソリューションはNSAが求める要件を満たすよう設計されたものだが、FAAのDO-254準拠が求められる商業用アビオニクスや、NISTのFIPS-140準拠が求められる商業用暗号化システムなどにも有用である。
なお、同製品は、45nmの2層酸化膜プロセスを用いて製造されており、同社の「ISE Design Suite」でデザインが可能である。また、I温度(-40~+100℃)およびQ温度 (-40~+125℃)のいずれにも対応している。
このほか、同社では2011年後半にはハイエンドFPGA「Virtex-6Qファミリ」の量産開始も予定している。