日本ヒューレット・パッカードは9月1日、仮想化機能を搭載したストレージのハイエンドモデル「HP P10000 3PAR Storage System」(以下、HP P10000 3PAR)を発表した。同社の第4世代ASICを搭載し、大幅にパフォーマンスを向上させたほか、筐体を跨って仮想ボリュームを移設できる「Peer Motion」機能を新たに組み込んでいる。
日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ事業本部 製品マーケティング部 部長の宮坂美樹氏 |
HP P10000 3PARは、昨年9月に買収を発表した米3PARの技術を使って開発されたクラウド向けストレージの新製品。ハイエンドモデルに位置づけられ、最大容量は従来モデルの約2倍にあたる1.6PBとなっている。
また、独自OS「Inform」を3.1.1へとバージョンアップしたうえ、新たに第4世代ASICを搭載。その結果、パフォーマンスは従来モデル比1.5倍、スループットは同2.6倍にまで向上したほか、スループット重視のI/Oとレスポンス重視のI/Oが混在する環境でも性能が劣化しないという。加えて、データ削除に伴い生じる"ゴミ領域"を検出する「ゼロ検出」機能の性能も3倍に向上。ゼロ検出の検出精度も、従来の128KB単位から16KB単位まで大幅に高め、従来以上にディスクの無駄を省ける仕組みになっている。
日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ事業本部 製品マーケティング部の志渡みず絵氏 |
そして、HP P10000 3PARの大きな特徴として強調されたのが、新たに組み込まれた「Peer Motion」と呼ばれる機能。同機能を利用すると、HP 3PARを直接つなぐかたちで(ストレージ仮想化アプライアンスを導入することなく)、筐体を跨った仮想ボリュームの移設が可能になり、複数の物理ストレージで構成される巨大なストレージプールを構築できる。日本HPでは、このストレージプールを「フェデレーテッドストレージ」と呼んでおり、発表会では、一部の筐体の負荷が高くなったり、ディスクがいっぱいになったりした場合も容易に平準化できるうえ、スケールアウトやストレージ移行などの作業が簡単になるといったメリットがあることが紹介された。
そのほか、ディザスタリカバリサイトなどへのデータ転送処理に関しても、事前にゼロ検出処理が実行され、無駄なデータを削除した後でデータ転送が行えるようになったため、転送データ量が大幅に削減されたほか、米VMwareが7月に発表した「VMware vSphere 5」にも対応しているという。
価格は、最大容量1.6PBの「HP P10000 3PAR V800」が2529万4500円。最大容量800TBの「同 V400」が1538万2500円。いずれも同日より販売が開始されている。
なお、日本HPでは、今回の発表に伴い、HP 3PARに関する特別プログラムを実施することも発表。内容は、HP 3PARへの移行により既存ストレージ容量の50%削減を保証するというもので、50%削減を達成できなかった場合には、50%超過分のハードディスク費用を日本HPが負担するとしている。