IDC Japanは8月31日、国内ファイルストレージ需要動向について発表した。これによると、国内ディスクストレージシステム出荷容量に占めるファイルベースの容量構成比は、2005年の34.2%から2010年には48.0%に上昇。2011年にはファイルベース出荷容量がブロックベース出荷容量を逆転し、2015年にはファイルベース出荷容量の構成比は76.6%に達すると予測している。
ここで使用されているブロックベース容量とは、データベースなどのブロック単位でアクセスされるデータを対象とするストレージ容量のこと。一方、ファイルベース容量とは、Microsoft Office文書や画像などのファイル単位でアクセスされるデータを対象とするストレージ容量のことを指す。
2010年の国内ディスクストレージシステム(外付型と内蔵型の合計)の出荷容量は前年比35.4%増の809.6ペタバイトで、そのうちファイルベースの出荷容量は前年比55.4%増の389.0ペタバイト。ファイルデータの多様化とデータ個数の増大、ファイルサイズの大型化になどより、ファイルベース容量に対する需要が増加している。ブロックデータに比べ生成に携わる人数が多いことや、それぞれが生成しているデータ量が増加していることも、ファイルデータ量増大に拍車をかけている。
同社では、2010年から2015年の同市場 出荷容量は、年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)が、45.1%で推移すると予測しているが、同期間のファイルベース容量の年平均成長率を59.3%と予測しており、ディスクストレージシステム出荷容量の伸びをけん引するのはファイルベース容量であるとみている。今後は、仮想イメージやバックアップ/アーカイブデータなど、新たな利用用途で生成されたデータも、ファイルベース容量増加に大きく影響していくものと予測される。
同社、ストレージシステムズ マーケットアナリストの高松亜由智氏は「国内企業にとっては、これまでのブロックストレージ中心の投資から、ファイルストレージにも重点を置いた投資をせざるを得ない状況になっていく。企業がファイルストレージに求める機能や性能も変化しており、1つの製品や技術がすべての企業の環境に適用するとは限らなくなり、ストレージベンダーにとっては、既存製品や既存のアプローチだけでは競争を勝ち抜いていくのが厳しい状況になりつつある」と分析している。
今後はファイルストレージの機能として、容量削減機能(重複排除やデータ圧縮)、階層型管理、シンプロビジョニングなどのデータの効率的管理を実現する技術/機能に対する需要が高まると、同社ではみている。