凸版印刷は、医療・医薬分野の滅菌工程で利用されるオートクレーブ滅菌に対応した樹脂製ICタグとして、小型コインタグ/コインタグ(2種)/ラベル型タグの4品種を開発、2011年9月上旬より評価用サンプルの提供を開始することを発表した。
オートクレーブ滅菌は、高温・高圧・高湿の環境下で滅菌を施す処理方法で、短時間に化学物質などを使用せず滅菌処理できるため、医療器具・器材などを滅菌処理する方法として一般的に用いられている。
今回同社は、これまで培ってきたICタグの設計・加工技術を活用し、オートクレーブ滅菌に耐性を持つインレット部品を開発した。ICタグの外装材にオートクレーブ滅菌に耐性を持つ特殊樹脂「レーデル」(ベルギー化学会社Solvayのスーパーエンジニアリングプラスチック部門Solvay Advanced Polymers製)を採用、成型方法を改良することで、通常のICタグと同等の性能を持つオートクレーブ滅菌に対応したICタグの製品化を実現したという。
小型コインタグのサイズは直径6.5mm×厚さ2mmで、周波数は13.56MHz(ISO15693準拠)、滅菌耐性はオートクレーブ滅菌およびガンマ滅菌に対応しており、医療器具管理への利用が想定されている。
また、コインタグはφ15mm品とφ22mm品を用意(直径15mm×厚さ2mm、直径22mm×厚さ3mm)。周波数は13.56MHz(ISO15693準拠)、滅菌耐性はオートクレーブ滅菌およびガンマ滅菌に対応しており、医療器具管理および医療分野ユニフォーム管理への利用が想定されている。
そしてラベルタグのサイズは40mm×90mmで、周波数は953(920)MHz(ISO18000-6準拠)、滅菌耐性はオートクレーブ滅菌に対応しており、滅菌ボックス・ケース管理への利用が想定されている。
いずれも134℃、3.0気圧、湿度100%の高温・高圧・高湿によるオートクレーブ滅菌処理(30分間)の耐久試験(100回以上)を実施済みで、ICタグの性能に異常が無いことが確認されている。
なお、想定単価は小型コインタグ10万個オーダー時で約180円としており、同社では今後、医療器具・器材メーカーと共同で実証実験を行い、ニーズを取り入れながら改良を加え、2011年12月の量産化を目指すほか、関連ソリューションを含めたビジネス展開を図ることで2012年度に15億円の売り上げを目指すとしている。