SAPジャパンは8月30日、今月15日より代表取締役社長を務める安斎富太郎氏の社長就任会見を開催。「スピード」と「フレキシビリティ」をテーマに顧客の成長を後押ししていくことなどを説明した。
IBM、デルで要職を歴任
SAPジャパン 代表取締役社長に就任した安斎富太郎氏 |
安斎氏は、IBMに約25年、デルに約4年勤務し、事業部長や理事、執行役員などを歴任してきた人物。今年1月にSAPジャパンに入社し、専務執行役員 シニアバイスプレジデント 営業統括本部長に就いていた。
氏はSAP入社後の約8ヶ月間を振り返り、「3つの点で入社してよかったと感じている」と説明。具体的な理由として、「日本もしくは各地域を牽引する2000社をお客様として抱えており、彼らの生の声が聞けるという貴重な機会がある」、「SAPはERP業界NO.1の会社だが、創業当時からの"経営の効率化"という理念の上に新技術の開発を進めており、それが顧客の成長に寄与している」、「社員のやる気/チャレンジ精神が強く、新技術に貪欲」といった点を挙げた。
社長就任にあたっての3つの抱負
安斎氏は日本法人を預かるにあたっての抱負として、「お客様の成功に貢献」、「One SAPの強化」、「社員のスキル向上」の3点を掲げた。
これらのうち、"お客様の成功に貢献"に関しては、「まずはお客様に成長していただくことが第一、そのうえで我々が成長していくのが理想」と語り、「お客様の期待に十分、十二分に応えられる会社にしていきたい」とコメント。さらに、これを実現するキーワードとして「スピード」と「フレキシビリティ」を挙げ、「経営で最も大事な要素はやはりスピードだが、震災後はこれにフレキシビリティという要素が加わるようになった」と説明し、以下のように続けた。
「経営ではリスクマネージメントも行うが、先の震災のように、予測できない事象がどうしても発生する。その際に重要なのがフレキシビリティ。事象を分析して適切に対応する力が求められる。大量データをリアルタイムに分析できるインメモリデータベースHANAなどは、そうした能力を高めるうえで大きく貢献するので、こうした技術を活用して顧客をサポートしていきたい」
一方、"One SAP"に関しては、SAPジャパンだけでなく、アジアパシフィック地域やグローバル全体のSAPのリソースを引き出し、日本の顧客に届けていくことを力説。「窓口はSAPジャパンだが、他国の人材やベストプラクティスなどをうまく活用しながら、顧客満足度を高めたい。"SAPに決めてよかった"と言ってもらわなければならない」と語った。
なお、顧客満足度の向上に関しては、パートナー施策も強化し、顧客が導入方法を選択できる環境を作っていくことも説明。以前の提供形態は、SAPによる直販のみだったが、「パートナー経由の販売を進めた結果、顧客満足度が向上し、売上も1.5倍にまで伸びた」とし、今後もこうしたパートナー販売を推進していくことを明かした。
そして、社員のスキル向上に関しては、「一芸に秀でたエキスパートになってほしい」との想いを語り、「そのうえで、部門を越えて価値観を共有できるチームを作りたい」とコメント。さらに、「最終的には英語ができるグローバルな人材を育成していきたい」と付け加えた。
また、パートナー販売を推進するにあたり、従来は直販のみが個人の業績に反映される仕組みだった営業評価制度を、パートナーの販売実績も組み込むように見直し、営業社員とパートナーの衝突を解消したことなども明かした。
安斎氏は、2011年下半期の数値目標として、前年同期比24%売上増という上半期の好調を維持し、最低でも2桁成長を確保することを提示。そのほか、長期的な施策としては、Smart City Projectに参加するなど、社会貢献活動を進めていくことなども紹介した。