日本マイクロソフト クラウド&アプリケーション プラットフォーム製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの斎藤泰行氏

日本マイクロソフトは8月29日、現在開発中のMicrosoft SQL Server次期バージョン「Denali(開発コード名)」の概要を紹介する発表会を開催した。フェールオーバー機能が改善されるほか、劇的なパフォーマンスの向上、新しいレポーティング機能の追加など、大幅な機能強化が予定されているという。

Denaliでは、「Mission Critical Confidence」、「Breakthrough Insight」、「Cloud on Your Terms」という3つのコンセプトの下に開発が進められている。これらのうち、「Mission Critical Confidence」に関しては、前バージョンで提唱していた「Mission Critical Ready」をさらに発展させたもので、ミッションクリティカルシステムを安定して運用するための機能が組み込まれる予定だ。

そのうちの1つが「SQL Server AlwaysOn」と呼ばれる機能。これは、「WSFC(Windows Server Failover Clustering)とDBM(Database Mirroring)の良いとこ取りをしたようなもの」(日本マイクロソフト クラウド&アプリケーション プラットフォーム製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの斎藤泰行氏)で、自動/手動でフェールオーバーできるセカンダリデータベースを設置できるほか、パフォーマンスを重視する場合やDRサイトを用意する場合に重宝する非同期モードも搭載されている。また、従来はDBMを利用する際に共有ディスクが必要だったが、Denaliではこれが不要になり、ハードウェア投資額を抑えられるという。

そのほか、GUIを持たないWindows Serverのインストールオプション「Windows ServerCore」に対応し、パッチの適用頻度を50~60%削減できる環境を提供。さらに、HASHBYTES関数による新暗号化アルゴリズムを採用して堅牢性を高めたり、列ベースのインデックスを保持する機能「カラムストアインデックス」が追加され、大量データの集計処理が約100倍高速化されたりしているという。

Mission Critical Confidenceに該当する主な機能

一方、Breakthrough Insightに関しては、データの分析/可視化機能を大幅に強化している。「Project Crescent」と呼ばれる新たなレポーティングツールが追加されたうえ、ExcelおよびSharePointで利用できるBIツール「PowerPivot」のバージョン2.0が組み込まれる。加えて、データクレンジング(表記の異なるデータや誤入力データを修正する)や名寄せ(同じものを指す異なるデータを同定する)を実現する「Data Quality Service」と呼ばれる機能も新たに提供される予定だ。

Breakthrough Insightに該当する主な機能

そして、Cloud on Your Termsに関しては、Windowsファイルなどの非構造化データを扱える新テーブル型「FileTable」が追加されることや、PHP Driver/Hadoop Connectorが組み込まれること、スキーマ比較/更新履歴の管理/リファクタリング/デバッグ等が可能なVisual Studioのアドオン「Project "Juneau"」が新たに提供されることなどが紹介された。こうした機能の拡充により、Appliance、Box(オンプレミス製品)、Cloud(Microsoft SQL Azure Database)の3つの形態でシームレスな利用体験を実現していく「ABC戦略」を推し進めていくという。

Cloud on Your Termsに該当する主な機能

Denaliはすでに、Community Technology Preview(CTP) 3がダウンロード提供中。日本語評価ガイドに当たる「CTP 3の自習書」も同日より公開されている。

Denaliの機能追加/強化ポイント