Analog Devices(ADI)の日本法人であるアナログ・デバイセズは8月29日、8月25日に発表した大型「ADP5585/5589」の説明会を開催し、同製品の適用領域などの説明を行った。

2製品の元々のターゲットはスマートフォン。しかし、GPIOポートへの対応やPWMジェネレータの内蔵、ノイズ抑制機能など各種機能を搭載したことで、産業機器や医療用機器などでの活用も進んでいるという。また、これまで同社が提供していた従来製品「ADP5588」では搭載していたLED用の明るさセンサ入力を省略し、プロセスの改善も図ったことで、さらなる省電力(キープレス時:30μA、アイドル時:1μA未満。従来品はキープレス時:55μA、アイドル時:2μA)を実現している。

ADP5585はフィーチャーフォンを想定したデバイスで、30(オプションとして36)のキーもしくは10(オプションとして11)のGPIOを読み取ることが可能。一方のADP5589は96キーパッド/19GPIO対応で、PC用キーボードなどに対応した製品となっている。いずれもプルアップ抵抗(100k/300k)およびプルダウン抵抗(300k)が設定可能で周辺抵抗を削減することが可能なほか、PWMジェネレータを内蔵しているため、アラームなどの活用も可能だという。

ADP5585/5589の基本概要

また、リセットジェネレータ機能を活用することで、キーマトリクスの検出やGPIの変更、ロジックの変更、同時3イベントまでの認識、同時イベント時の調整可能なトリガタイマなどとして用いることができるため、電源近くに配置し電源監視などを行うことも可能となっている。

さらに、簡単なロジックブロックをADP5585で1ブロック、ADP5587で2ブロック搭載しており、用途に応じた回路を構成することが可能なほか、I2Cインタフェースのサポートによるピン数と配線パターンの削減が可能だ。

加えて、ADP5585とADP5587はピン数は違うが、ピン配置に工夫を持たせることでWLCSPパッケージ品でピン互換性を確保しており、用途に応じていずれかを選択することもできる工夫が施されている。

ADP5585/5589の各種特長

なお、同社ではこのGPIO/キーパッドコントローラシリーズについては、カスタマのちょっとしたGPIOが後数個欲しい、といったニーズなどにも対応することを目指しており、スマートフォン向けとは言いながらも特定の使い方を想定した提供の仕方を行っていないという。パッケージもスマートフォン向けのWLCSPのほか、産業機器など向けにLFCSP品も用意しており、日本ではスマートフォン向けよりも産業機器や医療機器などでの適用に興味を示すカスタマが多く、そうしたカスタマに向けた提案を推し進めていく計画としている。

ADP5589を搭載した評価ボード(160ドル)とツール画面。画面のスイッチを押すだけでキーパッド(KP)かGPIOかといった切り替えなどが簡単に行える