ルネサス エレクトロニクスは8月23日、無線LANシステムや衛星ラジオなどの低雑音増幅器用トランジスタとして、新たに開発したシリコン・ゲルマニウム:カーボン(SiGe:C)採用プロセスを用いた低雑音SiGe:Cヘテロ型バイポーラトランジスタ(SiGe:C HBT)「NESG7030M04」を開発、即日サンプル出荷を開始したことを発表した。サンプル価格は35円/個で、2011年11月から月産100万個の量産を開始し、既存のSiGe HBTとあわせて月産5000万個まで拡大する計画。
同製品は、低雑音化のニーズや衛星放送で使用する12GHz超でのソリューション提供に対応するに開発されたもので、5.8GHz帯のSiGe:C HBTおよびSiGe HBTでは、従来のSiGe HBT製品比で雑音指数を0.35dB向上させた0.75dBを実現している。また、NF最小時利得は14.0dBを実現しており、これにより通信感度を高め、信号伝達のエラーを低減できるため、従来品と同等の雑音指数、利得性能を約1/4の消費電力で実現することが可能となった。
さらに、従来のシリコン系HBTでは、低雑音化と引き換えにコレクタ-エミッタ間の耐圧低下が避けられず、低耐圧となるため、使用アプリケーションが制限されていたが、同製品ではコレクタ-ベースプロファイルの最適化を行うことで、耐圧定格4.3Vの保証を可能にしている。これにより使用できる電源電圧の範囲が広がったため、数十MHzから14GHz帯までの広い帯域で安定使用が可能となり、より幅広いアプリケーション、例えばISMバンドでの用途などにも対応することが可能となった。
なお、同製品は同社がマイクロ波用途トランジスタ向けに開発した4ピン薄型小型ミニモールドパッケージ(M04パッケージ)に搭載されているため、従来の使用実績による実装評価の簡略化や、現行基板パターンでも最小限の回路調整で置換えることができるようになっている。