プロジェクトとは、大規模であれ小規模であれ、計画通りにうまくいかないことのほうが多いといっても、過言ではないだろう。よって、その対策となるITプロジェクトマネジメントはプロジェクト成功には不可欠であり、ITの重要性が増すなか、企業の戦略において重要な要素となっている。
時間、コスト、メンバーの変更など、プロジェクトが進まない要素は多々ある。予定通り進んでいたとしても、当初の要件が変わったり、なんらかの理由で必要性そのものがなくなってしまったりする場合もあるだろう。やめるにやめられず、誰も必要としないプロジェクトを進めていた……。そんなことにならないためにはどうすればよいか、The Registerでは、「間違ったプロジェクトの奴隷になっていないか?(原題:Are you slaving away on the wrong projects?)」という記事の中で解決策を紹介している。
プロジェクトマネジメントを支援するツールは多々あるが、同記事は代表的なツールとして「プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」、「サービス・ポートフォリオ・マネジメント(SPM)」の2つを紹介している。PPMはプロジェクトの状況や進行を管理するもの。SPMもPPMと似たようなものだが、管理対象がビジネスに提供するサービスに限定される。
例えば、PPMを導入すれば、プロジェクトについてビジネス上のメリット、コスト、リソースの要件、時間、リスクなどを把握し、それに合わせてスケジュールを立てることができる。これは優先順位を立てやすくしてくれる。また、急に新たな要求が出た場合、PPMを使えば、既存プロジェクトを一時停止した場合どうなるのかという見通しが出しやすくなる。SPMなら、さまざまな観点からアプリケーションのプラットフォームのアップグレード時期を計算できるだろう。これなら、IT部門は限られたリソースで効率よく、ビジネス側から出されるプロジェクト要求に応じることができる。
これらツールはまた、プロジェクトのどこに無駄があるのかも浮き彫りにしてくれる。規模が大きい組織になれば、複数の事業部が同じようなツールを持っていたり、利用していないアプリがあったりするかもしれない。なくしてもビジネスに大きな影響を与えないアプリケーションなら、一掃することで合理化を進められる。
だが、これらツールがもたらす可視化というメリットは、デメリットにもなりかねないので注意が必要だ。例えば、何もかもが明らかになると、個人同士の付き合いや部署内のちょっとした余剰資金など、ITリソース配分に影響する非公式なメカニズムもくっきり見えてしまう。よって、同記事ではPPM導入に際し「幹部レベルの承認を得ていること」が重要と助言する。
もう1つのポイントが、継続的利用により価値を最大限に引き出すこと。総じて、「重要なことに時間、作業、資金をフォーカスし、重要でないことに無駄にリソースを投じないことが、ビジネスへ最善のサービスを約束するための方法であるという理想をベースとする」と論じる。これが理論に終わるのか、実証可能なのか――ツールの使い手と使い方によって意見が分かれそうだ。