IDC Japanは8月18日、2010年のエンタ―プライズアプリケーション(ERP/SCM/CRM)およびビジネス分析(BI)のパッケージ製品に関する国内市場の調査報告を発表した。これによると、同市場規模は2,945億8,000万円、前年比成長率は2.3%だった。

BIパッケージは前年比成長率6.1%と大きく伸長したが、SCMパッケージが同マイナス0.1%、CRMパッケージが同3.2%、ERMパッケージは同1.9%だった。

SCMパッケージは円高に苦しむ製造業の投資回復の遅れによりマイナス成長だったが、BIパッケージは意思決定に絡んだ情報分析ニーズの高まり、CRMパッケージは顧客情報管理の見直しや営業支援システムの必要性に対する底堅い需要、ERMパッケージは基幹システムの老朽化・グローバルオペレーションの再構築・基幹刷新ニーズによりプラス成長となった。

2010年から2015年の同市場は年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)2.2%で推移すると予測されている。2009年の歴史的な市場縮小を経て、同市場は2010年に回復基調に転じたが、東日本大震災の影響から2011年は再度市場規模が縮小するという。

国内ERP/SCM/CRM/BIパッケージ市場 前回の売上額予測との比較 2007年~2015年:2011年7月および2010年7月における予測 資料:IDC Japan

2010年の同市場の全ジャンルにおいてSAPがシェア首位を堅持しているが、2008年以降2年連続でマイナス成長となり、2位以下のベンダーとシェア差が縮まりつつある。

ソフトウェア&セキュリティグループマネージャーの赤城知子氏は「東日本大震災の影響を受け2011年は予想外の市場縮小が予測される。しかし、企業のERP/SCM/CRM/BIパッケージに対する本質的なニーズは震災の影響で顕在化している。電力不足が営業の足かせとなる2011年の種まきの成否が2012年以降のベンダー競争力を決定づける」と分析している。