富士キメラ総研は、2011年5月~7月の間に業務用ディスプレイを中心に国内の映像機器市場を調査し、業務用30製品の規模やディスプレイサイズ別需要、普及台数/潜在需要、調達ルートなどの実態を調査し、今後の市場予測を発表した。
それによれば、この市場は、2010年度の補正予算で認められた学校のICT環境の整備事業「スクールニューディール構想」や地デジ対応の特需が集中してデジタルTV(前年比65%増の63.5万台)を中心に大きく伸びた結果、全体では前年比140.7%の98.1万台、同116.1%の1,084億円と急拡大した。しかし11年は前年の反動により、全体で前年比65.3%の64.1万台、同73.1%792億円と大きく前年を下回るが、デジタルTVは地デジ化の駆け込み需要から29.9万台と特需の余韻が続くと見込んでいる。
そして、その後は新規システム需要の開拓や中小企業への裾野の拡大、安定した入れ替え需要により、数量ベースで2013年以降、金額ベースでは2014年以降に再び拡大に向かい、2020年には713億円になると予測している。
教育機関では、「スクールニューディール構想」による環境整備事業によってデジタルTVを中心に講義室用プロジェクタ、電子黒板など各種製品が普及。液晶ディスプレイは、サブディスプレイやサイネージ用として普及が予測され、2020年には1万台を超えると予測。
一般企業向けは、フロントプロジェクタの普及が進み、今後も買い替え需要と追加需要によって年14万台以上の高い需要が期待されるという。また、ディスプレイも会議室やオフィスやショールームなどの様々な用途で利用拡大が見込まれるという。
公共施設(博物館/美術館、図書館、ホテル、結婚式場、競技場、公営レース場)では、ホテルの客室向けデジタルTVの導入が進むなど、市場全体でディスプレイの普及が進んでおり、買い替え中心の展開が予測され、競技場/公営レース場のフルカラーLEDディスプレイは、入れ替え需要や中小規模施設における新規需要の獲得により、堅調に推移していくと予測している。
流通/店舗では、宣伝や販促などの電子看板としてディスプレイ需要が拡大しており、チェーン店など施設数も多く潜在需要が高いと考えられ、特に首都圏のコンビニエンスストアでは、多店舗展開のメリットを活かした広告メディアとしての需要が見込まれるという。