STMicroelectronicsは8月10日、音質の向上と同時にテレビのさらなる薄型化・小型化を可能にするSoCとして「STA381BW」と「STA381BWS」を発表した。

2製品はホーム・エンタテイメント・アプリケーション向けの同社のデジタルオーディオ用SoCファミリ「Sound Terminal」の新製品で、スピーカ・ドライバ(ヘッドフォン・ドライバ出力、ライン・ドライバ出力)、独立したD/Aコンバータ、そのほかの機能を1チップに集積しているのが特徴。通常は3個のICを追加する必要のあるところを1チップ化していることに加え、同社独自の「F3X」と呼ばれる技術が導入されているため、外部フィルタが簡略化された。これにより、ヘッドフォン・ドライバと業界標準の2Vppライン出力で直流阻止コンデンサを不要にでき、外付け部品の削減、基板面積の小型化と製造コストの低減に貢献できるという具合だ。

さらにスピーカドライバ回路に関しては、同社独自のデジタル信号処理回路とFFX(Full Flexible Amplification)技術を活用したものを搭載。FFXは、2.1チャンネルのオーディオ処理、最大94%の効率で稼働するデジタル制御D級パワー段を組み合わせた技術。

また高効率であること、独自の3値PWM変調を採用していること、そしてそこに強化したパッケージ設計を組み合わせることで、高い熱特性も実現。動作温度を下げ、55.4℃に維持した状態で最大15W(24V、8Ω負荷)の出力が可能となっている。なお、この低温下によりテレビ筐体の温度のUL規格やCE規格といった安全基準に対準拠が、よりしやすくなったとしている。

そのほか、「STSpeakerSafe」、「STCompressor」、「STSpeakerTune」といったスピーカ補正機能も備えていることから、過剰ドライブによる損傷を防ぐことができると同時に、テレビスピーカの音質を向上させることにも成功している。

2製品はすでに、VQFNパッケージ(7mm×7mm×1mm、48ピン)にてサンプル出荷中で、1000個購入時の単価はSTA381BWSが約3ドル、STA381BWが約4ドルとなっている。なお、2製品の差異は最大電源電圧にあり、STA381BWSが27V、STA381BWが30Vだ。

両製品のスペックは以下の通り。

  • 12Sおよび1Vrmsステレオ・アナログ入力
  • 設定可能なパワー出力段構成(2.0chおよび2.1chモード)
  • 負荷ドライブ能力
     -20Wx2(8Ω負荷、3値変調)
     -9Wx2(4Ω負荷)+20Wx1(8Ω負荷)
  • 最大電源電圧:STA381BWS 27V/STA381BW 30V

同社では、両製品について今後のデジタル・オーディオ機器のさらなる薄型化や小型化に貢献できるものとしている。

STMicroelectronicsのデジタルオーディオ用SoC「STA381BW」のイメージ