計測機器ベンダ大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは、自社のオシロスコープ「Agilent Infiniium 90000Xシリーズ」および「Agilent Infiniium 90000A」シリーズ向けの新ソフトウェア「プレシジョン・プローブ」を発表した。
同ソフトはオシロスコープ内部のハードウェアと連携して動作するもので、外付けのハードウェアなしに、プローブやケーブルの個体差など、オシロスコープの経路の影響を自動的に補正するもの。この解析結果によって測定マージンを改善することができるため、従来以上に信頼性の高い測定が可能となることから、同社ではプローブやケーブル自体の特性が測定結果に甚大な影響を与えるような用途に適していると説明している。
同社のハイエンドのプロービング・システムでは経路上の損失(ロス)を抑える設計となっているものの、ケーブルやプローブにはロスがつきものであり、測定系の構成によっては、そのロスが甚大となる場合がある。また、ロスによって測定結果にバラつきが出て、一貫性がなくなることも起こりえるほか、周波数応答特性や位相特性はプローブによる個体差があるため、信号を正確に捕捉するためにはプローブやケーブルごとの特性を評価し補正を行う必要がある。
同ソフトでは、ケーブルおよびチャネルの挿入損失を迅速に補正できるほか、位相の線形性や振幅の平坦性などのプローブの問題を補正することが可能。また、各ケーブル、プローブの周波数応答特性や位相特性の合わせこみのほか、外付けの機器なしに、スイッチなどによる経路上の損失を評価、補正が可能などの動作が可能なため、そうした問題を解決することが可能となっている。
Sパラメータのファイルは、TDR(タイムドメイン・リフレクトメータ)やベクトル・ネットワーク・アナライザによる測定で生成されるが、測定準備に時間がかかったり、正確で一貫性のある測定を行うには専門性が求められたりという課題があるが、同ソフトを用いるとオシロスコープ内部の信号源を使って自動的にこのファイルを生成できるため、そうしたファイルを新たに別途用意する必要がない。
なお、同ソフトの価格は81万329円(税別)から、となっている。