カッパケリス・オオクライの復元画(出所:早稲田大学Webサイト、小田隆氏(成安造形大学)画)

早稲田大学は、1994年に見つかったカメの化石が、カメからスッポンへ進化する途中の新種であることが判明したことを発表した。

同大の平山廉国際学術院(国際教養学部)教授が鑑定したもので、この化石は、発見者の大倉正敏さんの名前とスッポンがモデルとされる妖怪「かっぱ」にちなみ、「カッパケリス・オオクライ」と命名された。

発見された化石は甲羅の部分の2片で、石川県白山市桑島の大嵐谷付近の手取層群赤岩層(1億3000万年前、中生代白亜紀)から出土した。これまでスッポンの最古の化石は、福井県勝山市とウズベキスタンで見つかった1億1000万年前のものとされてきたが、今回は、それをさらに2000万年遡った地層から発見された。

平山教授は、「通常のカメでは、鱗は甲羅の表面も覆っているが、スッポンの甲羅にはその痕跡(細長い溝)もなく、その代わりに虫食い状の彫刻が表面に発達する。今回発見された化石(カッパケリス・オオクライ)の部位は、甲羅を構成する50ほどの要素のうち2つにすぎないが、スッポンの起源に迫る重要な特徴として、甲羅の表面には鱗の痕跡がまったくなく、虫食い状の彫刻が強く発達していたこと、また、いずれもスッポンの重要な特徴であるが、スッポンではなくなってしまう縁板がしっかり残っていたこと、つまり、カッパケリスはスッポンに進化する途中のミッシング・リンクだったと考えられる」と、判定理由を説明している。

発見された化石(A・B・Cは同一化石を別角度から撮影したもの)

カッパケリスの発見により、スッポンの起源は約2000万年、従来より古くなったが、現在も新たな化石を求めて石川県などでの調査は継続中であるという。なお、今回発見された化石2片は2011年8月21日まで石川県白山市立松任博物館で特別公開されている。