説明を行ったTektronixのマーケティングマネージャのDavid A.Fink氏 |
計測機器大手のテクトロニクス社は8月2日、2チャネルで最高100GSpsのリアルタイム・サンプルレート、4チャネルで33GHzのアナログ周波数帯域に対応するオシロスコープ「DPO/DSA70000Dシリーズ」を発表した。
TektronixのマーケティングマネージャのDavid A.Fink氏は同製品が開発された背景として、3つの顧客ニーズ「光通信」「ワイドバンドのRF通信」「シリアルの高速通信」が存在していたとする。
光通信では動画などの増加によるトラフィック量の増大は問題となっており、コンシューマ領域のみならずビジネス領域でも高速データアクセスに対する要求が増えてきているという。また、そうしたエンドユーザーの動きに併せて、ネットワークプロバイダ側でもさらに上の帯域の実現を求めてくるようになってきており、既存ネットワークを維持しながら、そうしたデータレートの向上が可能な技術が求められており、40G/100G、そして400Gといった技術の実現に向けた開発が進められている。
RF通信では、単に4Gなどの大容量通信技術への要求のみならず、画像一体型の高分解能レーダーシステムなどの実現などが求められているという。
そしてシリアル伝送では、数Gbpsの速度でのデータのやり取りが求められるようになってきたが、多くの規格への対応が求められるほか、シグナルパスなどの課題も生じてきているという。
こうした領域では、さまざまなパラメータを1つひとつ収集し、解析する必要があるが、特に立ち上がりの信号時間の特性評価は高速化につて、電圧レベルの低下によりノイズが無視できない状況になってきており、そうした環境での測定が必要となっている。
「そうした課題に対応するために開発されたのがDPO/DSA70000Dシリーズだ。我々のパートナーであるIBMのSiGe 8HP BiCMOSプロセスを採用したASICを活用することで、アナログ周波数帯域33GHz、サンプルレート100GSpsを実現した」と同氏は語っており、同チップを2つ搭載することで、性能を維持しながら4チャネル(1チップあたり2チャネル)に対応することが可能となったとしている。
また、チップの性能のみならず、ヒートシンクの設計見直しやコネクタからダイレクトにチップにつなげることで、ノイズの低減を図るなどの実装技術の工夫も施されている。
入力感度は6.25mV/divで、全4チャネルでの10TSpsの等価時間サンプル・レートを実現、立ち上がり時間も9psを実現している。また、オシロスコープの使い方として、いかに測定の対象デバイスと接続するかが重要となってくるが、「このレベルの測定だと、多くのカスタマは同軸ケーブルを用いている」ということで、同軸をオシロに接続し測定することが可能な機構(アダプタ)も取り入れており(デバッグ信号用には既存プローブも利用可能)、マイクロ波、BNC、タイプN、BNC広帯域版の4種類のアダプタを用意したとする。
さらに、注目したい波形の部分だけを任意に取り出せるトリガ機能なども搭載しており、高速シリアル伝送で主に用いられる8b/10bのデコードなども取り込んで、その状況を確認することも可能となっているほか、BUJ(Bounded Uncorrelated Jitter:有界非相関ジッタ)をサポート。ジッタを分解していくことが可能となり、問題解決が容易になるとしている。
加えて、カスタマによっては計測器で収集したデータの解析が必要となるため、そうしたデータの処理に向けMATLABなどのソフトとの連携を強化することが可能なソフト「DataStore」を用意し、そうしたニーズにも対応できるようにしたという。
なお、価格は33GHz、100GSpsのデジタル・フォスファ・オシロスコープ「DPO73304D」で3040万円(税別)、33GHz、100GSpsデジタル・シリアル・アナライザ「DSA73304D」で3280万円(税別)、25GHz、100GSpsデジタル・フォスファ・オシロスコープ「DPO72504D」で2350万円(税別)、25GHz、100GSpsデジタル・シリアル・アナライザ「DSA72504D」で2480万円(税別)としている。