オラクルは7月28日、ミドルウェア製品の事業戦略に関する説明会を開催し、今年度は、アプリケーションサーバ「Oracle WebLogic Server」を主軸に置き、ミッションクリティカルな分野に力を入れていくことを明らかにした。
執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 Fusion Middleware事業統括本部長の桐生卓氏は、「今年のミドルウェア事業では、WebLogic Serverの強化中心に進めていく。WebLogicが伸びれば、CoherenceやTuxedo ARTといった差別化製品も伸びていくはず。一方、Java SEを強化することで、WebLogicを伸ばしていく」と、ミドルウェア製品の事業戦略の柱について説明した。
同氏はさらに、WebLogic Serverの強化の方向性について、「ミッションクリティカルなシステムのアプリケーション実行基盤の中核製品として、いわゆる"止められないシステム"に対して勝機を見いだしている」と述べた。
ミッションクリティカルなシステムに必要な機能として、WebLogic Serverでは、Oracle RACの処理効率の改善が図られた。例えば、RACノードの負荷状態に基づく動的バランシングやトランザクション・アフィニティが可能になっている。
このミッションクリティカル性は、WebLogic Serverの実行基盤となるJava SEでも強化が行われている。具体的には、「Java SE Advanced」と「Java SE Suite」において、これまで有償だった「JRockit」という機能が無償で利用できるようになった。無償にすることで、開発者がJRockitの利用に感じている敷居を下げたという。
同日、ミドルウェア事業の差別化製品と位置付けられている、特定のルールに基づいてリアルタイムにデータ処理を行う基盤「Oracle Complex Event Processing 11g」(以下、Oracle CEP)を活用した初のソリューションが発表された。
そのソリューションとは、オンライン取引情報をリアルタイムで分析することで不正取引を未然に防ぐ、金融犯罪リスクを低減するためのオンライン不正検知ソリューションだ。
Fusion Middleware事業統括本部 担当マネジャーの井上憲氏は、「当社はあらためてCEP(複合イベント処理)市場に本格参入を表明するが、これには、金融・通信を中心にCEP市場が拡大しつつあること、当社のCEP領域への導入が進んできたことがある。また、Big Dataと言われる大量データをリアルタイムで活用したいというニーズも高まっている」と説明した。