ルネサス エレクトロニクスは7月29日、村田製作所がルネサスのパワーアンプ事業および子会社のルネサス東日本セミコンダクタの長野デバイス本部の事業を譲り受けることで基本合意に達したことを発表した。
同合意に基づいて、両社は同事業譲渡に関する最終契約書の締結を2011年10月末に実施し、2012年1月1日をめどに譲渡を完了する予定。譲渡の方法などの詳細は現在協議中としている。
パワーアンプ製品の主要用途先である携帯電話市場において、スマートフォンの需要拡大や、新興国向け低価格モデルの拡大を背景に、基本的な携帯電話の通信機能構成部品のモジュール化、プラットフォーム化が進展している。特に、通信機能におけるパワーアンプ製品と、フィルタ、スイッチなどの高周波部品の複合化の要求が増加しているという事業環境の変化の中、村田製作所は携帯電話端末向けFEM(フロントエンドモジュール)で世界トップレベルのシェアを保持する中、次世代の事業としてパワーアンプを含めたアナログフロントエンドの複合化を進め、パワーアンプ技術の強化を検討していた。
また、ルネサスのパワーアンプ事業はパワーアンプ単品モジュールで端末メーカへ供給を行っていたが、さらなる事業強化のためにはFEM部を含めた複合化への対応を実施する必要があり、2社間で通信機器用部品の相互供給関係を強化して協業を進めるなどの可能性について検討を行ってきており、今回、村田製作所がルネサスのパワーアンプ事業およびパワーアンプの製造を手掛ける東セミ長野デバイス本部の事業を譲り受け、通信モジュール事業を進めることで基本合意に達したという。
なお、村田製作所は今後、世界トップレベルのFEMとルネサスから譲り受けたパワーアンプ製品の複合技術による事業拡大を図っていくとしている。