「BlackBerry」スマートフォンで知られるカナダResearch In Motion(RIM)は7月25日(現地時間)、経営陣の人事異動とコスト対策の詳細を明らかにした。従業員の10%に相当する2000人規模の人員削減などを含む大規模なもので、収益性を強化し、競争の激しいスマートフォン業界で地位を確保する狙いだ。

QWERTYキーボードとプッシュ電子メール機能が評価され、北米で強いシェアを持つRIMだが、このところ、スマートフォンでタッチ端末の流れを作った米Apple「iPhone」や「Android」端末の後塵を拝していた。調査会社comScoreの3月-5月期の米国スマートフォン市場調査によると、トップはシェア38.1%のAndroid。RIMは、26.6%のシェアをとったAppleに2位の座を奪われ、3位とランクを下げている(シェアは24.7%)。AndroidとiPhoneがそれぞれ、5.1ポイントと1.4ポイントシェアを増やしたのに対し、RIMは4.2ポイントのマイナス。ユーザー数は100万人減少している。

RIMが6月16日に発表した会計年度2012年第1四半期(2011年3月-5月期)の数字では、BlackBerryの出荷台数は前年同期比わずか18%増の1320万台にとどまった。また、「iPad」対抗を狙い、新技術QNXをOSに採用したタブレット「PlayBook」は50万台と報告していた。なお、Appleは2011年第3四半期(4月-6月期)、前年同期比142%増の2034万台のiPhoneを、925万台のiPadを販売したと報告している。

PlayBook

今回のコスト対策プログラムは、6月16日に明らかにしていた計画の詳細となる。コスト対策プログラムでは、全世界の全部署で約2000人の人員削減を行う。これにより、同社の従業員は1万7000人となり、RIMの戦略目標に合わせ、高い成長が見込める分野に配置する。RIMは人員削減について、「RIMの長期的成功にとって必要なステップ」と記している。

対象となる社員への通知は、今週にも北米をはじめとした一部地域で開始する。その後、現地の労働法に基づき他の地域に拡大する予定だ。

同時に発表した経営陣の人事異動では、6月より病気休暇をとっていたBlackBerry担当COOのDon Morrison氏が退職する。RIMはCOO3人体制を取るが、残り2人のCOO(製品とセールス担当のThorsten Heins氏、執行担当のJim Rowan氏)がMorrison氏の任務を補う。Heins氏はソフトウェアとハードウェアを含む全製品の開発に責任を持ち、Rowan氏は製造とグローバルサプライチェーンなどを担当し、オペレーション合理化を進める。

COOの1人、Thorsten Heins氏

同じくCOOの1人、Jim Rowan氏

これに加え、北米、アジアパシフィック、EMEAなどさまざまな地域の営業やオペレーションを担当してきたPatrick Spence氏がグローバルセールス・地域マーケティング担当マネージングディレクターに就任、Thorsen氏に直接報告することになる。

なお、RIMの業績悪化を受け、Jim Balsillie氏とMike Lazaridis氏の2人による共同CEO体制に批判が出ていたが、今回の人事異動では共同CEOはそのままとなった。