東京エレクトロン デバイス(TED)は、次世代のSLCタイプNAND型フラッシュメモリの信頼性を向上させる、NANDフラッシュメモリ・コントロールIP「TE5571」を同社ブランド「inrevium」として、2011年11月よりライセンス販売することを発表した。

NAND型フラッシュメモリは、その特性から発生するデータ誤りを訂正するため、コントローラ側で1bitの誤り訂正(ECC)を実行する必要があるが、2011~2012年に市場に登場する見込みの次世代プロセスで製造されるSLC(Single Level Cell) NAND型フラッシュメモリでは、データ誤りの発生頻度が高くなるため、4または8bit誤り訂正機能を持つECCが必要となっている。

同社が提供する前世代コントロールIP「TE5553」では4bit訂正まで対応していたが、それでは次世代NANDの8bit訂正に対応できないため、今回、新たにTE5571が開発された。また同IPはBCH符号(Bose Chaudhum Hocquenghem code)方式のECCハードウェアを内蔵したほか、ECCの複号化処理にパイプライン方式を採用する事で、データ誤りが発生するかどうかにかかわらず、常に一定した処理時間を保つことができるようになっている。

さらに、ブート用のハードウェア・シーケンサも搭載しており、これまでNOR型フラッシュメモリが担当していたシステムブートをNAND型フラッシュメモリで対応することが可能となる。ブートプログラム用バッファとしては512/1K/2K/4KBが選択可能。

システムを構成した場合のNORからNANDへの置き換えのイメージ

このほか、NANDインタフェースは8bitと16bitを選択することが可能で、外部入力クロックは最大100MHzとなっているほか、不良ブロックの管理、論理アドレスから物理アドレスへの変換、NAND型フラッシュメモリの延命機能も内蔵しており、NAND型フラッシュメモリを最大4個まで制御することが可能となっている。

NAND型フラッシュメモリへの対応状況

IPはハードウェア部をVelilogで、ファームウェア部がCソースコードで提供されるほか、システムブートプログラムがサンプルコードで提供される。

なお、標準販売価格は(特定単一LSIの開発から量産までする)1ライセンスが900万円(税別)となっており、TEDでは、IPのFPGAやASICへの埋め込みやチューニングもサポートしていくとしている。