日本アイ・ビー・エムは7月20日、仮想化ディスク・ストレージの新モデル「IBM XIV Storage System Gen3」を発表した。同製品は、従来モデルと比べて、データ転送速度が4倍に向上している。出荷は9月8日からで、最小構成価格は1億2,155万3,000円(税別)。
ストレージ事業部長の山崎徹氏は、「今後、年率60%の伸びで、データが増えていくと言われている。現在100TBのデータが5年後にはペタバイト級になってしまう。こうした『ビッグ・データ』と呼ばれる多様化かつ頻発する膨大な量のデータを取り扱うには、ストレージの効率化を図る必要がある。それを実現するのが、IBM XIV Storage System Gen3」と説明した。
同製品のスペックは、搭載可能なディスク数が72個~180個(2TBのSASドライブ)、実効容量が55TB~161TB、ファイバチャネルが8~24ポート、iSCSIが6~22ポートとなっている。
同製品は従来モデルに対し、BIやアーカイブなどのシーケンシャル処理を4倍高速のスピードで処理できるほか、データベースやメールといったトランザクション処理も最大3倍のスピードで処理可能。同氏は、これらを実現できた理由について、「各要素技術を強化したから」と話した。
具体的には、内部接続スイッチ、外部接続インタフェース、キャッシュ容量、ディスクの種類が強化されている。例えば、内部接続スイッチがEthernetからInfiniBandに変わったことで帯域幅が20倍以上になっているほか、ファイバチャネルのポートとiSCSIポートの増加により、外部帯域幅が2倍に以上になっている。また、2012年上半期の予定ではあるが、SASディスクと並んでSSDにも対応することが表明されている。
加えて同氏は、「他社製品では、シン・プロビジョニング、スナップショット、リモート・ミラリング、QoSといった機能はオプションとなっているが、XIV Storage System Gen3では標準で装備されている」と、同製品のアドバンテージをアピールした。
ハードウェアの強化とあわせて、管理ツールの改善も図られている。今回、最大64台の稼働状況を1つのコンソールから監視・制御できるようになるとともに、複数拠点に点在するすべての装置に対し、パフォーマンスの確認/ボリューム構成の変更/障害が発生した場所と情報などを1拠点のコンソールで一元管理できるようになった。
さらに同氏は、東日本大震災以降、ユーザー企業の節電に対するニーズがより高まっているとして、同製品が大幅な電力削減を実現すると述べた。ハードディスクの実効容量が161TBで、一般的なストレージと同製品を比べると、筐体を3台から1台に減らすことができ、消費電力は約58%削減が可能だという。