東京・虎ノ門にあるアクシオ

アイデンティティ管理、ネットワーク、セキュリティなどのソリューションを提供するアクシオが、業務に取り入れたのがクラウド型名刺管理サービスである「名刺バンク」だ。すでに導入済みのiPhoneを利用し、顧客情報を共有している。

アクシオでは積極的に新たな取り組みにチャレンジしており、2010年5月からは業務用携帯電話のiPhoneへの置き換えも開始した。すでに全端末が入れ替えられ、約150台のiPhoneが業務利用されている。

iPhoneの導入は、携帯電話でよりリッチな地図等が利用できることに加えて、社外から仮想デスクトップに接続することで業務効率化を実現することが目的だ。

iPhoneの業務利用の1つとして「名刺バンク」を導入

アクシオ プロダクツ推進本部 本部長 岡本孝氏

「iPhoneの画面サイズでは業務をスムーズに進めるのは難しいと思いましたが、まずは自社の売り物であるソリューションを使ってみようということで導入しました。今は一部でiPadを導入し、ドキュメント共有なども行っていこうと思っています」と、プロダクツ推進本部 本部長である岡本孝氏は語る。

そして、同社がiPhoneを活用する新たな取り組みとして導入したのが、アクシスソフトが提供する「名刺バンク」だ。クラウド上に名刺データを保存する「名刺バンク」は、PCからだけでなく、iPhoneやAndroid端末からも名刺データの登録や参照が可能だ。スキャナや複合機で取り込んだ画像をアップロードするとOCR処理され、会社名や名前などをテキストで検索できるようになる。

名刺バンクの画面

「名刺はこれまで個人が自由に管理していました。ほとんどは紙のままだったと思います。つまり、担当者が退職してしまえばそれまでだったわけです。大切な顧客の情報が詰まっている名刺という資産を、共有の資産にしようというのが目的でした」と、岡本氏は導入の目的を説明する。

顧客情報の有効活用を促進する「名刺バンク」の効果

従来は顧客向けの年賀状やダイレクトメール発送時に、一括で宛名印刷を行うためのリストを作成することはあったが、取引先の担当者リストとしてまとめたことはなかったという。しかし、「名刺バンク」の導入によって、現在は3,000件弱の名刺データが部署内で共有されることになった。

「中には5,000枚近い名刺が手元にあるという社員もいます。営業部門とマーケティング担当者を中心に40~50名で利用するため、まずは名刺バンクの最小コースである5,000枚以内に納めるため、1人100枚まで登録してよいということでスタートしました。今は新たに入手した名刺を順次登録しています」と岡本氏。

名刺バンクは、ユーザー数課金ではなく、登録枚数による課金で、5,000枚(月額19,800円)、20,000枚(月額35,000円)、50,000枚(月額50,000円)のコースが用意されている。

名刺バンクはAndroid/iPhoneのほか、iPadにも対応する

スマートフォンでは、そのまま電話をかけたり、メールを送信したり、Googleマップ連携による地図表示が行える

同社では、名刺データの取り込みは、基本的に複合機を利用して複数枚を一気に読み込む方法で実施しているが、iPhoneのカメラでの読み込みことも行っているという。各名刺の情報には、画像のほか、ユーザーがタグやメモを登録することも可能だ。

「タグには、何の商材でコンタクトしたお客様かという情報を登録しています。メモにはそれぞれ好きなことを登録していますが、私の場合はいつ会った方で、どんな話をしたかという内容を記録しています。一度しか会っていない方でも、こういう記録を残しておくことで、すぐに思い出せるようになります」と岡本氏は語る。

名刺データにはユーザーがタグやメモを登録することも可能

社内には、名前と顔が一致しない場合でも、メモを読むことで思い出すことができたという声もあるという。また、何も持たずにオフィスを飛び出してしまっても、訪問先の情報をきちんと調べることができ、そこから地図を表示できるというメリットもあるようだ。また、名寄せ機能を利用すると名前を基準にして複数登録されている名刺を管理することができ、相手の部署移動の履歴なども確認できる。

名寄せ機能

「転職されていたり、担当が変わられていたりといったこともよくわかり、営業トークにも役立ちます。検索がしやすいので見たい情報にすぐ辿りつけますし、電話もスムーズです。引き出しにしまってある名刺はオフィスにいなければ使えませんが、クラウドで管理されているため、どこからでもアクセスできて非常に便利です」と岡本氏は語る。

今後、アクシオではさらにiPhoneやiPadをさらに活用するためにMobileIron MDMを導入し、セキュリティを強化する予定だ。導入後には、iPadを利用してのドキュメント共有なども積極的に行いたいという。