独自の高速記録機能を搭載したEEPROM「M35B32」

STMicroelectronicsは、機器障害や事故原因の特定に役立つブラック・ボックス・レコーダなどのアプリケーション向けに、予期せぬ事象の発生時に重要なデータを保存するための独自の高速記録機能を搭載したEEPROM「M35B32」を発表した。すでに量産出荷を開始しており、SO8N/TSSOP8/FPN(2mm×3mm、小型表面実装型)パッケージで提供され、単価は1,000個購入時に約0.65ドルとなっている。

同製品を搭載したシステムでは、2Kビットの重要情報を1ms以内に保存することが可能なため、システム障害や事故の発生時に重要データを退避させることが可能であり、電源障害などの場合、電源電圧が使用不可能なレベルに低下する前に、システム復旧に必要な情報を保存することが可能となっている。

書き込み速度を、他の不揮発性メモリと比較した場合、標準的な32KビットEEPROMの約40倍高速で、これはフラッシュメモリの書き込み速度に匹敵している。また、エネルギー消費量はフラッシュメモリの約10分の1で、突然システム・ダウンした場合でも、書込完了までメモリを動作させる電源電圧用バックアップ・コンデンサの容量も10分の1にすることが可能だ。

メモリ容量(32Kビット)は、イベント記録用と通常のシステムEEPROMの2個のセクタに分割されている。セクタの容量は、各種アプリケーションの要件に合わせ、ユーザが設定可能だ。また、256バイトのページサイズにより、1回のページ書き込みサイクルで大量のデータを書き込むことができるため、イベント記録セクタへのアクセス時に1ms以内でこの情報をプログラムすることが可能なため、これによりシステム性能が向上し、ソフトウェアのオーバヘッドを減少することが可能となる。

メモリとのアクセスは、標準SPIシリアル接続を介して行うため、標準的なSPIシリアル接続に対応したメモリと直接置き換えることも可能だ。

なお、車載認定された製品が2012年初旬に発表される予定で、こちらはABS(アンチロック・ブレーキング・システム)などの設計を簡略化することができるようになるとしている。