ヴイエムウェアは7月13日、同社が提供する仮想化プラットフォームの新版「VMware vSphere 5」を発表した。VMware vShield、同 vCenter Site Recovery Manager、同 vCloud Directorなどの関連プロダクトもバージョンアップしたほか、サーバ上に共有ストレージを構築するソフトウェアアプライアンス「VMware vSphere Storage Appliance」を新たに提供することもアナウンスしている。
発表会には米VMware CEOのPaul Maritz氏もビデオメッセージで登場した |
ヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏 |
vSphere 5では約200もの新機能が追加されるという。その中でも主な機能としては、「インテリジェント ポリシー管理」、「高可用性(High Availability)機能の改善」、「基本性能の向上」の3つが挙げられた。
これらのうち、インテリジェント ポリシー管理は、以前から提供されていたポリシーベースの自動管理機能をさらに拡張したもの。具体的な機能としては、サーバのセットアップ作業やパッチ適用作業を自動化する「Auto-Deploy機能」、サードパーティのストレージベンダーとの協力して開発したAPIを活用し、各仮想サーバに関連付けた物理ストレージグループ内でポリシーベースのストレージ自動運用を実現する「Profile-Driven Storage」、仮想サーバ側の設定に従ってストレージのロードバランシングを実現する「Storage DRS(Distributed Resource Scheduler)」が組み込まれている。
一方、高可用性に関しては、vSphere HAをアップグレード。アーキテクチャを刷新し、可用性を高めたほか、セットアップも容易になっている。また、基本性能の向上については、従来の4倍にあたる、最大1テラバイトのメモリ、32の仮想CPUをサポート。これにより毎秒100万を超えるI/O処理が可能になったという。
加えて、vSphere 5ではライセンス体系も変更されている。同ソフトウェアはCPU単位で課金されるモデルになっているが、これまではサーバ1台あたりのCPUコア数と物理RAM容量に制約があった。それに対して今後は、その制約を排除し、プールされた仮想メモリ容量に基づいたライセンス体系になるという。
そのほか、vSphere 5とともに発表された関連製品に関しては以下のとおり。
vShield 5 : vShieldは、さまざまな組織で物理リソースを共有することになる仮想化環境において、アプリケーション、仮想マシン、組織(仮想マシン群)の間に"防御壁"を作るセキュリティ製品。新版では、さまざまな国や地域、業界の法律や規則を反映させた80のテンプレートを追加。各種のコンプライアンス要件に容易に対応できるようになっている。また、レイヤ2のファイアウォールを導入し、サードパーティ製IPS(Intrusion Prevention System)に対応している。
vCenter Site Recovery Manager 5 : vCenter Site Recovery Managerはディザスタリカバリ機能を提供するソフトウェア。新たに、システムが正常化した際にセカンダリサイトからプライマリサイトに稼働環境を戻す自動フェイルバック機能を搭載。さらに、「VMware vSphere Replication」と呼ばれる実装を組み込み、ストレージのレプリケーションにも対応。複数サイト間で異種ストレージを導入している際にもレプリケーションが可能になるという。
vCloud Director 1.5 : vCloud Directorは、前述のvShieldのほか、「VMware vCloud Datacenter Services」、「同 vCloud Connector」、「vCenter Chargebadk」などの製品によって構成される製品。各種リソースプールの管理機能とセルフサービスポータルを提供し、ユーザーが必要なときに必要な性能のコンピューティングリソースをセルフサービス型で提供できるようになる。新版では、高速プロビジョニング機能を搭載したほか、各種のIT管理ツールとの統合が容易になり、データベースサポートを拡張するなどの改善が行われている。
vSphere Storage Appliance : サーバの内部ストレージを使って共有ストレージを構築するソフトウェアアプライアンス。今回新たに追加された。物理サーバ1台で、ストレージも含めた総合的な仮想化環境を構築できるため、中堅/中小企業向けのコストを抑えたソリューションとして位置づけている。専門知識を持たない管理者でも導入できるよう、インストール作業を数クリックで終えられるなどの特徴もある。
各製品の価格やライセンスの詳細はヴイエムウェアのWebサイトにて公開されている。